研究課題/領域番号 |
17K08260
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研究機関 | 第一薬科大学 |
研究代表者 |
安川 圭司 第一薬科大学, 薬学部, 准教授 (80372738)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 潰瘍性大腸炎 / 硫黄 / 亜硫酸ラジカル |
研究実績の概要 |
今年度はマウスを用いてDSS誘発大腸炎の発症における亜硫酸由来ラジカルの産生について検討した。 DSS (分子量5,000、硫黄含量18%)の5%水溶液を雄性5週齢ICRマウスに1、2、または5日間自由飲水させた後に大腸を摘出し、大腸組織ホモジネートを調製した。 大腸組織内の亜硫酸塩を測定したところ、DSS飲水開始1日後より有意に増加し、その増加は5日後まで継続し、大腸炎の完成期である7日目では水道水群レベルにまで低下した。亜硫酸ナトリウム/過酸化水素/ペルオキシダーゼによる少量の亜硫酸ラジカル産生条件下、大腸ホモジネート試料とスピントラップ剤DMPOを添加し、生成した付加体をX-band ESR装置で測定したところ、DMPO/亜硫酸ラジカル付加体のESRシグナル強度はDSS飲水開始1日後には約40%増加し、5日後では有意な増加が認められた。そのシグナルはアスコルビン酸の添加により完全に消失し、グルタチオンの添加により減少した。亜硫酸ナトリウム濃度を下げて同様に試料のESR測定を行ったところ、DSS投与群と水道水群ともに、DMPO/亜硫酸ラジカル付加体に加えてアスコルビン酸ラジカルのESRシグナルも出現した。また、大腸組織内のアスコルビン酸含量を測定したところ、DSS飲水開始1日後より有意に減少し、5日後まで減少し続けた。 以上より、DSS飲水マウスにおいて、DSS飲水開始1日後には亜硫酸塩と亜硫酸ラジカルが産生し、全マウスが大腸炎を発症する5日後まで産生し続けた後に減少することが示唆された。また、大腸組織内のアスコルビン酸は産生した亜硫酸ラジカルを効果的に消去している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度と次年度の計画を一部入れ替えたが、その入れ替えた項目について、ほぼ順調に進行し成果が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、亜硫酸ラジカルの産生がタイト結合タンパク質(occludinやzonula occludens-1)や細胞膜に及ぼす影響や亜硫酸ラジカルの産生経路について検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の物品費が当初予定より少なく済んだため、次年度の物品費と成果報告のための旅費に使用する予定である。
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