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2018 年度 実施状況報告書

一次繊毛の形成を制御するユビキチン・プロテアソームシステム

研究課題

研究課題/領域番号 17K08269
研究機関三重大学

研究代表者

笠原 広介  三重大学, 医学系研究科, 准教授 (90455535)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード一次繊毛 / 脱ユビキチン化酵素 / プロテアゾーム / 受容体型チロシンキナーゼ / 中心体
研究実績の概要

一次繊毛と呼ばれる細胞小器官の形成不全および機能異常は、種々の発達異常や疾患(線毛病)の原因となることが明らかにされ、一次繊毛の形成メカニズムの解明が求めてられている。これまでに研究代表者らは、タンパク質分解の主要経路であるユビキチン・プロテアソーム系が一次繊毛形成に必要不可欠であることを発見し、その分子機構の一端を明らかにしてきた。本課題ではこれまでの研究を発展させ、ユビキチン化酵素/脱ユビキチン化酵素の活性バランスによる一次繊毛の形成メカニズムを分子レベルで明らかにすることを目的としている。
本年度は、前年度までに発見している一次繊毛の形成抑制経路「受容体型チロシンキナーゼEGFR→脱ユビキチン化酵素USP8→トリコプレイン→オーロラA」のシグナル伝達系を重点的に解析し、これらの経路が細胞増殖の抑制に働いていることを明らかにした。また、USP8のノックアウトゼブラフィッシュを用いて解析したところ、一次繊毛の異常および繊毛病症状が観察された。本研究成果により、一次繊毛の形成が細胞増殖と連関することを示した。さらにはUSP8など一次繊毛制御因子が、癌など異常な細胞増殖による疾患の標的ターゲットとなりうることが期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

一次繊毛の形成を制御するシグナル伝達系を解明し、論文としてその成果を発表しており、当初の計画以上に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

本研究において、一次繊毛の抑制因子として同定した脱ユビキチン化酵素について、未だ分子メカニズムが不明である5つの脱ユビキチン化酵素(USP38, USP43, USP52, USP54, UCHL3)について機能解析を進める。また、癌と一次繊毛の関連を調べるため、癌細胞において申請者らが発見した一次繊毛抑制経路(EGFR-USP8-トリコプレイン-オーロラA)がどのように働いているか解析する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Primary Cilia as Signaling Hubs in Health and Disease.2019

    • 著者名/発表者名
      Nishimura Y, Kasahara K, Shiromizu T, Watanabe M, Inagaki M.
    • 雑誌名

      Advanced Science

      巻: 4 ページ: 1801138

    • DOI

      10.1002/advs.201801138.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Tetraploidy in cancer and its possible link to aging.2018

    • 著者名/発表者名
      Tanaka K, Goto H, Nishimura Y, Kasahara K, Mizoguchi A, Inagaki M.
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: 109 ページ: 2632-2640

    • DOI

      10.1111/cas.13717

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] EGF receptor kinase suppresses ciliogenesis through activation of USP8 deubiquitinase.2018

    • 著者名/発表者名
      Kasahara K, Aoki H, Kiyono T, Wang S, Kagiwada H, Yuge M, Tanaka T, Nishimura Y, Mizoguchi A, Goshima N, Inagaki M.
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 9 ページ: 758

    • DOI

      10.1038/s41467-018-03117-y

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 一次線毛の形成動態によるがん細胞増殖制御機構の解明2018

    • 著者名/発表者名
      笠原広介, 稲垣昌樹
    • 学会等名
      第77回日本癌学会学術総会
    • 招待講演
  • [図書] メディカル・サイエンス・ダイジェスト4月号2019

    • 著者名/発表者名
      笠原広介、稲垣昌樹
    • 総ページ数
      244
    • 出版者
      ニューサイエンス社
    • ISBN
      1347-4340

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公開日: 2019-12-27  

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