研究課題/領域番号 |
17K08279
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
森本 達也 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (50390779)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 心筋細胞肥大 / 心不全 / 転写因子 / エピジェネティック / ヒストン / ヒストンアセチルトランスフェラーゼ / p300 / GATA4 |
研究実績の概要 |
我々は内因性ヒストンアセチル化酵素(HAT)活性を有する p300 と 転写因子GATA 4の協力(p300/GATA4経路)が心不全発症における遺伝子発現調節に極めて重要であり、心不全治療のターゲットとなることを示した。また、p300の特異的アセチル化阻害作用を持つクルクミンが心不全の進行を抑制することを慢性心不全ラットモデルにおいて証明した。さらに、新たな心不全治療薬シーズ探索のため、p300/GATA4経路活性化を指標としたスクリーニング系を構築し、化合物ライブラリーを用いて心不全治療薬のシーズ探索を行った。 以上の研究結果をもとに、より効率のよい心不全治療薬開発のため、我々はp300/GATA4経路の活性化機構を指標とした薬物スクリーニング系を構築した。すなわち、p300/GATA4経路の活性化には、①p300のHAT活性、②GATA4のリン酸化、③GATA4-p300結合、④GATA4ダイマー化、⑤GATA4-DNA結合が重要であるが、我々は、それぞれについて、リコンビナントタンパクを用いたin vitroでスクリーニングする系を確立した。次に、天然物化合物ライブラリーや既知薬ライブラリーを用いた検討で、ω3系脂肪酸やメトホルミンなどがp300のHAT活性を強力に抑制することを見出した。今後さらに検討することにより、p300/GATA4経路を制御するこれら化合物が新規心不全治療薬となる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画が妥当であったため、実験は順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
上記治療薬候補化合物を用いて、新生児ラット培養心筋細胞における肥大抑制効果を指標としたスクリーニングを行い、より心筋特異的で、低濃度で心筋細胞肥大抑制効果を示す、細胞毒性の少ない、化合物を4-5個同定する。さらに、同定した心不全治療薬候補を用いてラット心不全モデルに経口投与を行い、心不全の発症・進行を抑制するかを検討する。治療薬候補が培養細胞及び動物モデルでp300/GATA4経路を抑制することを確認するとともに、安全性も評価し、心不全治療薬のシーズを決定する。
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