研究課題
これまでの研究により、申請者が見出した新規リーリン結合分子は既知リーリン受容体であるVLDLRの共受容体として働く可能性が示唆された。本年度は前年度に引き続き、新規リーリン結合分子の生化学的解析を進めた。マウス大脳皮質から抗VLDLR抗体を用いた免疫沈降を行ったところ、VLDLRと共に新規リーリン結合分子が共沈降することがわかった。このことは、脳内でこれら受容体が複合体を形成することを示す。また、VLDLRスプライシングバリアントとの複合体形成能を調べ、新規リーリン結合分子はO結合型糖鎖領域を有するアイソフォーム(VLDLR-I)と効率良く複合体を形成することがわかった。大脳皮質におけるVLDLR-Iの局在を明らかにする目的で、ポリクローナル抗体を作製した。しかし、この抗体は組織免疫染色に使用することができず、大脳皮質におけるVLDLR-Iの局在解明には至らなかった。前年度までに、新規リーリン結合分子のノックダウンは、浅層神経細胞の樹状突起発達を悪くすることがわかった。しかし、新規リーリン結合分子には、リーリン以外にも結合するリガンドが報告されているため、この実験のみではリーリンと新規リーリン結合分子との結合の重要性を明らかにすることはできない。そこで、新規リーリン結合分子の各種変異体を作製し、リーリンとのみ結合可能な変異体を得た。これをノックダウンベクターとともに浅層神経細胞に発現したところ、樹状突起発達異常がレスキューされることがわかった。この結果から、リーリンと新規リーリン結合分子との結合が樹状突起発達に重要な役割をもつことが示唆された。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 2件)
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