研究実績の概要 |
Fut8欠損マウスにおいて神経細胞表面のAMPA受容体数の増加が認められたことから、AMPA受容体の膜表面量の調節におけるα1,6フコースの機能を明らかにするため、H29年度は、AMPA受容体数の増加に重要なα1,6フコースの付加部位の同定を行った。具体的には、AMPA受容体を構成するGluA1-4各サブユニットには4から6ヶ所のN-結合型糖鎖付加部位があることから、どの部位に付加されたα1,6フコースが複合体形成能の亢進に寄与するのか検討するため、糖鎖付加部位に変異を導入したサブユニットを293T細胞に導入し、Wild-typeの細胞でもFut8欠損細胞と同様に複合体形成能の亢進に寄与する糖鎖付加部位を同定を試みた。しかし、複合体形成能の亢進に明らかに重要であることを示す糖鎖付加部位は見いだせなかった。そのため、次に検討を予定していた糖鎖変異体を餅田Ca2+透過性に与える影響・グルタミン酸の毒性発現に対する反応性の違いについての検討を中断し、H30年度に予定していた Tripartite synapseにおけるα1,6フコースの役割の解明を前倒しで実施している。具体的にはアストロサイトにおけるα1,6フコースの機能を検討するため、Fut8を欠損させたC6グリオーマ細胞を作製・分化誘導による突起形成と分岐に与える影響と細胞マーカーGFAPの発現量の変化を解析した。明らかにα1,6フコースがグリオーマ細胞の機能に重要であることがわかった。
|