研究課題
平成30年度は、ここまでの研究で得られた結果、即ち、ロイコトリエンB4第一受容体(BLT1)のリガンド濃度依存的な7カ所の段階的リン酸化修飾とその細胞生物学的な意義(高濃度リガンド存在下での遊走や脱顆粒応答に必須)に関する研究成果を論文化し、社会に情報発信した。受理された雑誌は、Science誌系列のScience Signaling誌で、8月21日号に掲載された。本研究テーマは、日本生化学会や生化学会中四国支部会で発表し、コスモバイオ社や日経BP社からは注目研究として紹介された。さらに、本研究を発展させる目的で以下の2つのテーマを開始した。(1)リン酸化欠損でAKTの活性化が低下するが、今年度の研究からこの現象にβアレスチンが関わることを見出した。βアレスチン欠損下ではBLT1のリン酸化は正常に起こるが、AKTの活性化は低下し、これは、リン酸化欠如の表現系と類似していた。具体的な関連について現在解析を進めている。(2)BLT1はリン酸化に加え、C末端の1カ所のリジン残基がモノユビキチン修飾されることを今年度発見した。この修飾の責任ユビキチンリガーゼの候補も酵母2-ハイブリッドスクリーニングで同定している。興味深いことに、このユビキチン修飾にはリン酸化修飾が必須であることが示唆されつつある(例えば、責任ユビキチンリガーゼのBLT1への会合度はリン酸化欠如で低下した)。今後、リン酸化修飾とユビキチン修飾との関連、および、これら修飾がBLT1の生理活性制御にどう関わるのかを解明し、BLT1標的創薬に役立てたい。
1: 当初の計画以上に進展している
研究計画は予定よりも早く達成し、成果も学会発表に加え、インパクトの高いScience誌系列のScience Signalingに発表することが出来、社会的にも注目を集めている(コスモバイオ社や日経BP社が紹介)。また、この課題をさらに発展させるために新たなテーマも設定し、順調に進んでいる。2019年度は本課題の最終年度であるが、既に目標はクリアし、次のステージの準備も滞りなく進展中である。斬新なBLT1標的創薬の提案に向けてこの調子で進めていきたい。
上述の通り、本研究を発展させる目的で以下の2つのテーマを今年度より開始した。(1)リン酸化欠損でAKTの活性化が低下するが、今年度の研究からこの現象にβアレスチンが関わることを見出した。この解析のためにβアレスチン欠損細胞株を共同研究者である東北大学,青木淳賢教授よりご供与頂いた。具体的な関連について現在解析を進めている。(2)BLT1はリン酸化に加え、C末端の1カ所のリジン残基がモノユビキチン修飾されることを今年度発見した。この修飾の責任ユビキチンリガーゼの候補も酵母2-ハイブリッドスクリーニングで同定している。興味深いことに、このユビキチン修飾にはリン酸化修飾が必須であることが示唆されつつある。今後、リン酸化修飾とユビキチン修飾との関連、および、これら修飾がBLT1の生理活性制御にどう関わるのかを解明し、BLT1標的創薬に役立てたい。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (8件)
Science Signaling
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