研究課題
血管は、発生初期の脈管形成とそれにつづく血管新生により血管網が構築され、その課程における内皮細胞の役割は必須である。内皮細胞のBMP9・ALK1シグナル伝達系は、血管新生の初期過程に必須である。しかし、BMP9・ALK1シグナルがどのようにして血管形成に関わるのか、下流制御因子などシグナル経路の分子機構は不明のままである。申請者らは、BMP9・ALK1シグナルにより発現制御を受ける下流因子を探索し、候補遺伝子としてSGK1を見いだした。詳細な解析の結果、SGK1はBMP9・ALK1シグナルにより制御される転写因子Smad1/5/8の直接の下流標的因子であることが明らかとなった。難病に指定される遺伝性血管疾患のオスラー病では、ALK1遺伝子に変異が見られる。従って、血管新生に必須なALK1シグナルの分子機構を理解することは、この難病のみならず血管新生制御を介した疾病治療にもつながり重要であると考えられる。
2: おおむね順調に進展している
ほぼ計画通りに進捗している。
これまでほぼ計画通りに進捗しているので計画通りに研究を進める。今後、BMP9・ALK1・SGK1シグナルの更に下流のSGK1によるリン酸化基質の同定に向けて、網羅的解析を含む生化学的な解析を中心に進める予定である。網羅的な解析で候補遺伝子を絞れない場合は、既知の基質の胎生期血管新生における内皮細胞での発現、役割を検討する。
本助成金は主に試薬などの消耗品を購入しているが本年度は予想よりも消費が少なく終わったが、その分はそのまま翌年度に消費予定である。
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Angiogenesis
巻: 21 ページ: 415-423
10.1007/s10456-018-9605-x