研究課題
患者由来がん細胞の性質を維持したまま継代可能な培養技術が開発されており、患者への成果還元として、遺伝子診断や薬剤有効性評価など個人差を考慮した、個別化医療への応用が検討されている。本申請課題では、申請者のオリジナルな創薬戦略から設計した人工アジュバント「電荷依存的に 細胞接着するリポペプチド(TLR2リガンド)」と患者由来の培養がん細胞を「がん抗原」として利用し、新規がんワクチンの調製方法を検討するものであった。昨今の研究から、免疫原性の高い細胞死(Immunogenic Cell Death)の概念が認識され、単純な凍結がん組織・ホルマリン固定がん組織サンプルからでは不可能で、生きたがん細胞からしか作れない有効なワクチン調製法を開発できる可能性があった。こうした背景を踏まえた初年度までの研究において、親株のがん細胞とは異なり、移植マウスに免疫を成立させ、自然退縮するワクチン株の分離に成功したため、ワクチン株の免疫有効因子の検討を開始した。現在までに、マイクロアレイ解析、既報の文献調査(機能性について)、予後相関(データベース)などの検討を重ね、がんワクチン増強の有効因子として、3種類の候補分子を同定している。また、これらの候補分子については、遺伝子欠損・過剰発現などの遺伝子改変を施したがん細胞株を作製し、機能性の実証研究・解析を行った。本申請研究から得られた3候補物質は、がんワクチン調製における創薬視点の工夫点として、今後の研究へつなげていく計画である。
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Auris Nasus Larynx
巻: in press ページ: ー
10.1016/j.anl.2020.01.002
https://oici.jp/laboratory/department/gansouyaku/