前年に引き続き、脳梗塞のin vivoモデル(脳梗塞モデルマウス脳)およびin vitroモデル(グルタミン酸(Glu)により細胞死を誘発したHT22細胞)において、Nrf2の関与をWestern blotで検討した。その結果、Nrf2関連因子の有意な変動は認められなかったことから、これまでの検討結果とも考え合わせ、本モデルにおいては、細胞死保護に働くNrf2経路の活性化が十分でないことを示していると考えられた。したがって、Nrf2経路活性化因子が、細胞死保護に働く可能性があると思われた。 上記検討の過程で、脳梗塞モデルマウスにおいて、脳梗塞発症側にマウスIgG抗体で検出される71~75 kDaのタンパク質の顕著な上昇が認められた。この発現上昇は、梗塞発症側で非常に顕著であること、およびShamでは両側ともにモデルマウスの梗塞非発症側と同レベルと低かったことから、梗塞誘発に深く関与すると考えられた。さらなる検討が必要であるが、これまでの検討結果からは、IgGそのものと考えられる。いずれにしても本タンパク質は、治療薬の新規ターゲットとなる可能性があり、興味深い知見である。 一方、HT22細胞においては、核抽出液におけるLamin B1がGlu曝露1.5時間後から時間依存的に低下し、3時間後以降は、有意に減少した。また、細胞質抽出液においては、3時間以降、Cleaved Lamin B1の時間依存的な発現量上昇が認められた。これに対し、核抽出液において、Histon H3発現量は、Glu曝露4.5時間まで変化が認められなかった。以上より、詳細は不明であるが、Glu誘発細胞死にLamin B1の分解が関与することが示唆された。今後は、今回新たに変動が見出された因子を中心に検討し体と考えている。
|