研究課題
脳血管BBB成熟へのミクログリアの影響についてin vivoでの評価を試みた。生誕1-30日後のラットの腹腔内に2% Evans Blue投与した。24時間後、ラットを深麻酔下にて開胸し、PBS、4% PFAを心灌流し、脱血、固定した後、脳を摘出した。また、1mg/ml Ez-Link Sulfo-NHS-Biotin PBS溶液を心灌流した後、4% PFAを心灌流して固定し、脳を摘出した。凍結切片を作成し、x500のA564ストレプトアビジンを用いてビオチンをラベルし、cortex領域の毛細血管のビオチン漏出を観察した。また、Lectin、抗CD31抗体、抗Iba1抗体を用いて、免疫染色を行った。染色後の切片はNIKON A1R A1共焦点顕微鏡をもちいて解析した。Evans Blueは分子量960の青色色素であり、ラット腹腔に投与すると速やかに組織実質に移行し、内臓、皮膚など全身が青色に呈色する。しかしながら、BBB成熟が完成した脳内には、Evans Blueは透過できないため、脳が青く染色されることはない。生誕1-30日後のEvans Blue投与ラットの脳を観察した結果、生後1、4日まではPBS投与群と比較して青色に呈色しているが、生後10日目になるとPBS投与群とほとんど変化がないことが明らかになった。ビオチンラベル色素Ez-Link Sulfo-NHS-Biotinを心灌流し、脳血管周辺のビオチン色素の漏出を染色にて調べた結果、生後7-10日目にはBBB形成が完了している可能性が示された。加えて、生後4-10の血管に取り巻くように、ミクログリアが接着している様子も確認した。以上の結果はラットでは生後10日目までにBBBが完成し、ミクログリアがBBB成熟に関与していることを示唆している。
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J Neurochem.
巻: 150 ページ: 249-263
10.1111/jnc.14791