研究課題/領域番号 |
17K08335
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
ナランダライ ダンシーツォーダロ 広島大学, 医歯薬保健学研究科(薬), 特任助教 (00786072)
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研究分担者 |
杉山 政則 広島大学, 医歯薬保健学研究科(薬), 共同研究講座教授 (30106801)
野田 正文 広島大学, 医歯薬保健学研究科(薬), 特任准教授 (40457289)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 乳酸菌 / プロバイオティクス / 毒素阻害 |
研究実績の概要 |
本年度は、腸管出血性大腸菌 (EHEC) のベロ毒素産生の制御に関与しているシグナル物質AI-3を介したQS機構を阻害する機能を持つ植物乳酸菌のスクリーニングを行った。その結果、7つのQS阻害物質を産生する候補株を取得した。 また、バイオフィルムを形成する細菌であるStreptococcus mutans (S. mutans) 、Pseudomonas aeruginosa (P. aeruginosa) PAO-1及び黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureus (S. aureus) の3株(NBRC 12732, IID 1677, FDA209P)に対して, Lactobacillus reuteri BM53-1株がバイオフィルム形成阻害活性を示すかを評価した結果、BM53-1株培養液上清を添加することで バイオイルム形成量が減少する傾向が見られた。そのうち、S. mutans菌のバイオフィルム阻害活性がもっとも高いことが分かった。続けて、S. mutans感染モデルマウスを用いた動物実験を行った結果、BM53-1株培養液上清摂取によって血液中のALTやLDH値がコントロール群と比べ有意に下がることが確認された。 BM53-1が産生するTS-inhibitorのS. aureus凝集体阻害活性を調べたところ、TS-inhibitor処理することで黄色ブドウ球菌の凝集が有意に抑制されることが分かった。また、S. aureusに対しては、発育の後期対数期でのTS-inhibitor処理によってTSST-1遺伝子(tst)の発現が阻害されてないことから、TS-inhibitorは末に産生されたTSST-1毒素蛋白質を不活性化するよりは黄色ブドウ球菌の対数期時のクォーラムセンシングに関わっていることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バイオフィルムを形成する病原性菌のバイオフィルム阻害活性を確認することができた。 本研究室で保存してある植物由来乳酸菌ライブラリーの中から病原性菌のシグナル物質AI-3を介したクオラムセンシング機構を阻害する機能を持つ株を7つ発見した。 Lactobacillus reuteri BM53-1株が黄色ブドウ球菌の凝集を抑制するとともに動物実験において、血液中のLDHやALTが下がることを確認できた。 現在、これらの研究成果を取りまとめ、学術論文を執筆中である。
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今後の研究の推進方策 |
病原性菌のシグナル物質AI-3を介したクオラムセンシング機構を阻害する機能を持つ7つの株それぞれの機能性分子の化学構造を決定する。 Lactobacillus reuteri BM53-1株が黄色ブドウ球菌の凝集及びバイオフィルムを阻害するとともに動物実験において、血液中のLDHやALTが下がることを確認できた。今後、黄色ブドウ球菌を感染させたマウスを用いて動物実験を行う。
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