研究課題
真菌の細胞膜成分であるエルゴステロールをシリカゲルに修飾したESシリカを作製し、放線菌培養液から新規物質を探索した。放線菌培養液抽出物 859サンプルをESシリカで処理し、ESシリカ処理サンプルをLC/UV-MSで解析した。化合物の物理化学的性状のデータをもとにデータベースで検索した結果、104株から94化合物 (重複を含めると167化合物) を既知物質と同定した。既知物質を同定した結果、ポリエン系化合物は、AMPH-B、ストレベルテンAやフィリピンⅢなど11化合物が検出された。ポリエン系化合物以外にも様々な構造を有する化合物が同定できた。部分構造にヒドロキシサム酸を有する化合物トリコスタチン類は複数の株の代謝産物から検出された。ピペラジン構造を有するマレマイシン類やグリセオルテイン酸など、核酸系化合物サンギバマイシン類やシネファンギンなど窒素を含む複素環式化合物が多く検出され、既知物質94化合物のうち、75化合物が微生物アルカロイドだった。ESシリカを用いたスクリーニングの結果、859サンプルのうち、29 化合物が新規物質と推定された。そのうち、新規性や生産性の再現などを考慮し、Amycolatopsis sp. K16-0194の培養液から構造内にピリジンが2つ結合した新規物質ジピリマイシンBおよびStreptomyces sp. K16-0477の培養液からテトラミン酸の2量体の5位にプロパ-1-エンが結合し、N,N,N-トリメチルエチルアミニウムがテトラミン酸2量体の中心に結合した新規物質ジエトジアミドCが得られた。ジピリマイシンBはE. coli NIHJに対して弱い抗菌活性を示した。ジエトジアミドCは抗菌活性は示さなかった。
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