• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実施状況報告書

レチノイドX受容体ヘテロダイマーの活性化によるアルツハイマー病の予防と治療

研究課題

研究課題/領域番号 17K08352
研究機関愛知学院大学

研究代表者

井上 誠  愛知学院大学, 薬学部, 教授 (50191888)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードレチノイドX受容体 / アルツハイマー病 / 天然由来RXRアゴニスト / Liver X受容体 / ABCA1
研究実績の概要

我々はこれまでにレチノイドX受容体(RXR)に対する天然アゴニストとして、ホオノキオール、プレニルフラバノイドのSPFsなどを単離同定してきた。今回、これらのRXRアゴニストがアルツハイマー病(AD)の発症抑制作用を有するかに焦点を絞り研究を進めた。始めに、アミロイドβ(Aβ)による神経様細胞PC12の細胞死に及ぼすSPFsの効果を検討した。SPFsはAβによるPC12細胞の細胞死を抑制し、その作用はRXRアンタゴニストで抑制された。また、この細胞死抑制作用はLXRアゴニストT0901317の共存下でより増強された。さらに、SPFsはATP-binding cassette transporter A1(ABCA1)を誘導し、そのABCA1の阻害剤はSPFsのAβによるPC12細胞の細胞死抑制作用を阻害した。これらの結果より、SPFsがRXR/LXR(liver X 受容体)ヘテロダイマーを介してABCA1を誘導することによりAβの作用を阻害している可能性が考えられた。次にSPFsの抗炎症作用を詳細に検討した。SPFsはリポ多糖によるサイトカイン産生を抑制し、その作用はLXRアゴニストにより増強された。さらに、RXRα/βをsiRNAでノックダウンすることにより、その抑制作用が阻害された。これらの結果より、SPFsがRXRアゴニストとしてRXR/LXRヘテロダイマーを活性化することにより炎症反応を抑制することが明らかになった。さらにホオノキオールをシード化合物として各種誘導体を作製しRXRアゴニスト活性を調べたところ、化合物Iが既存の合成RXRアゴニストであるベキサロテンに匹敵する強い活性を持つことを見出した。また、化合物Iはマウスに経口投与することにより、海馬においてADの発症抑制に関与するABCA1、LXRのmRNA発現を誘導することを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

アルツハイマー病(AD)モデルマウスであるC57BL/6-App<tm2(NL)Tcs及びC57BL/6-App<tm3(NL)Tcs動物は、8~12ヶ月齢でAD病変が観察されるとされており、それらの飼育に時間がかかっている。現在、モデルマウスが適当な月齢になったので、薬物の評価系の確立のための実験を始めている。細胞系の実験は、神経系細胞の細胞死防御、炎症抑制、ならびに、Aβ産生系及び分解系へのRXRアゴニストの作用を検討しており、平成29年度中には完了しなかったので、継続していく予定である。新規RXRアゴニストは現時点ではミャンマー産植物より見出すことはできていない。また、レチノイン酸X受容体(RAR)とビタミンD受容体(VDR)に対する新規アゴニストも見出すことができていない。そこで今後トルコ産植物を利用して探索研究を進めることにした。その他、当初より平成30年度に計画していた実験計画は予定通り進めていく予定である。

今後の研究の推進方策

1)アルツハイマー病(AD)モデルマウスC57BL/6-App<tm2(NL)Tcs及びC57BL/6-App<tm3(NL)Tcsを用いて、組織染色や行動薬理などの薬物の評価系を確立し、RXRアゴニストの効果の評価及び作用機序の検討を行う;2)細胞系の実験として、神経系細胞死の抑制、炎症抑制、ならびに、Aβの産生系及び分解系へのRXRアゴニストの効果と作用機序を検討する;3)新規RXR、RAR、VDRアゴニストの探索研究は、本年度はトルコ産薬用植物で探索を行う予定である;4)さらに強力なRXRアゴニスト活性を有する誘導体の合成を進める;5)RXRアゴニストとLXRアゴニストあるいはRARアゴニスト、PPARsアゴニストの併用作用を調べる。以上のように今後の実験を計画している。

次年度使用額が生じた理由

アルツハイマー病モデルマウスC57BL/6-App<tm2(NL)Tes>,
C57BL/6-App<tm3(NL)Tes>でAD病変が観察できるようになるまでの飼育期間が何ヶ月もかかり、病変を解析する為の各種抗体及び関連試薬の購入が遅れたために使用額が予定より少なくなった。本年度は、本動物実験を開始しており、繰り越した研究費を着実に使用する予定である。本年度予算は、消耗品費として使用するとともに、研究成果の発表のために論文作成に関する謝金、投稿料を始め、出張旅費として予定通り使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] アミロイドβが誘導するPC12細胞死に対するサンズコン由来RXRアゴニストの抑制作用2017

    • 著者名/発表者名
      王蔚、中島健一、平居貴生、井上誠
    • 学会等名
      日本薬学会第137年会
  • [備考] 愛知学院大学薬学部薬用資源学講座

    • URL

      http://www.phar.agu.ac.jp/lab/med_res/top.html

URL: 

公開日: 2018-12-17  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi