研究課題/領域番号 |
17K08358
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
池田 剛 崇城大学, 薬学部, 教授 (80295138)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 含硫黄環状化合物 / タマネギ / onionin A / マクロファージ |
研究実績の概要 |
アメリカ国立がん研究所の疫学調査で、がん予防効果が報告されている食品のタマネギより、新規含硫黄環状化合物 onionin A1を発見した。さらに、onionin A1がマクロファージのM2活性化を抑制し顕著な抗腫瘍効果を示すことを明らかにした。そこで、今後の非臨床試験が行えるように、onionin A1を大量供給する方法を検討した。また、onionin A1の絶対立体構造は未解明であることから、結晶化の条件を検討し、単結晶X線構造解析を検討した。 【1】Onionin A1の安定供給法の確立・・・先ず、onionin A1の定量分析系の確立を行った。その結果、HPLCにて、ODSカラムを用いて、示差屈折計で検出することができた。次に、抽出溶媒の検討を行った。アセトン抽出を基本として、アセトニトリル、エタノール、ブタノール、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの各種溶媒を用いて生成量の比較を行ったが、アセトン以外の溶媒ではonionin A1の生成は確認されなかった。 【2】Onionin A1の絶対立体化学の解明・・・X線構造解析の検討を行うためには高純度のonionin A1を得る必要がある。そこで、従来のオープンカラムで精製して得られるonionin A1のHPLCによる分取法を検討した。【1】で行うonionin A1のHPLCによる定量分析系と同様に、ODSのカラム、水―メタノールの溶出溶媒で高純度のonionin A1を得ることが出来た。得られた高純度のonionin A1は、分解しないように細心の注意を払い、各種溶媒に溶解し再結晶を試みたものの、良好な単結晶は得られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画当初は、onionin A1誘導体を簡便に合成する方法の検討も盛りこんでいたが、抽出分離の検討とHPLCの分析法の検討に時間がかかり、化学合成まで行うことができなかった。本年度は、関連化合物の合成法の検討を行い、構造活性相関の比較を行う準備を整える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、onionin A1誘導体を簡便に合成する方法を検討する。市販のチオフェン類など環状5員環含硫黄化合物を出発原料として、側鎖にプロペニル基などの脂溶性の置換基とハロゲンなどの極性基の導入を行い、短工程で誘導体を完成させる。本反応では、メチル基が既に導入されているので、チオフェン環の2位と5位の置換基の効果を種々比較するのに適している。また、エタンチオールなどのチオールと3-メチルチオフェンなど市販の試薬を出発原料として、チオール-エンクリックケミストリーでチオフェン環に置換基の導入を行う。得られる立体異性体は分離せず2, 3位の脱水素化反応後、側鎖の導入や酸化反応を行う。本反応は、チオケタール構造を持つ誘導体を調製することも可能であるが、先ずは、合成を簡便にするために不斉炭素を含まない化合物を調製する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた金額よりも安く消耗品が購入できたため,残額が生じた。残額の44円は、サンプル瓶の内蓋などの購入に充てる予定である。
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