研究実績の概要 |
【1】Onionin A1類縁化合物の探索・・・抗腫瘍活性を確認したOnionin A1の関連化合物にもがん予防効果が期待される。また、化合物の安定供給の方法を確立するために新たな安定した含硫黄化合物の発見も望まれる。そこで、onionin A1を単離したタマネギ(Onion; Allium cepa)と関連するAllium属植物の成分検索を行った。研究素材として、ネギ(Welsh onion; Allium fistulosum )、ニンニク(Garlic; Allium sativum)、ニンニクの芽(Garlic sprout)の検討を行った。その結果、ネギより、ジメチルチオラン型スルフォキサイドであるonionin A1-A3(3種)と共に、チアビシクロ型のwelsonin A1, A2の2種の新規化合物を単離した。また、ニンニクより既知化合物のallicin, ajoeneと共に、新たにジメチルチオラン型スルフォキサイドを7種(garlicnins B1-B4、C1-C3)を単離・構造決定した。さらに、ニンニクの芽の成分検索を行い、ニンニク本体に含まれるgarlicnin B1とajoeneが得られた。さらに、新規のγ-ヒドロキシブテノライドを結晶として得ることが出来た。これはニンニク本体では検出できない化合物である。ニンニクの芽は大量に増やすことも可能で、garlicnin B1を選択的に生成することから分離も容易であるので、がん予防の優れた素材であることが期待される。 【2】Garlicnin B1の絶対立体化学の解明・・・X線構造解析の検討を行うためには高純度のgarlicnin B1を得る必要がある。そこで、onionin A1のHPLC分取法を参考にして、ODSカラム、水―アセトニトリル系で高純度のgarlicnin B1を調製した。
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