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2018 年度 実施状況報告書

エリスロポエチン遺伝子発現制御機構を利用した新規貧血改善薬の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K08361
研究機関東北大学

研究代表者

平野 育生  東北大学, 医学系研究科, 助教 (00708117)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードErythropoietin / GATA1 / 化合物スクリーニング
研究実績の概要

これまでに私は腎以外の組織からのEPO産生を誘導する薬剤の開発を目的に、ヒト慢性骨髄性白血病細胞株であるK562を利用したハイスループットスクリーニング(HTS)系やマウス腎集合管上皮細胞由来細胞株mIMCDを利用したHTS系を樹立し、東北大学薬学部化合物ライブラリー内の6080個の化合物を対象にHTSを実施し、その結果Mitoxantrone(MTX)や化合物Aを同定した。実際にこれらの薬剤は、A549細胞株やヒト総胆管癌由来細胞株TFK-1などの細胞株のみならず、マウス個体においても薬剤投与により肺においてEpo遺伝子の発現を亢進させることが示された。しかし、ELISA法などによるEPOタンパク質の発現解析を実施したが、これらの上皮系細胞における元々のEpo遺伝子の発現量が低いことなどが原因となり、現状ではEPOタンパク質発現は確認できていない。また、MTXや化合物Aは抗がん剤として知られている物質でもあることから、今後、EPO誘導剤としての利用は困難となる可能性がある。そこで、今年度はさらなるEPO誘導化合物の探索を目的に、A549を用いた新たなレポーター細胞株の樹立を試みたが、遺伝子導入効率が低いことなどが原因となりレポーター活性を示す細胞株の樹立には至っていない。一方で、すでに樹立済みであるmIMCDを利用したHTS系により東京大学創薬機構より提供された化合物コアライブラリー(9,600化合物)に対するスクリーニングを実施した。その結果、レポーター活性を上昇させる化合物として20種類のリード化合物を同定した。これらの化合物は新規のEPO誘導剤として利用可能である可能性があるため、さらなる解析を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究の目的はハイスループットな化合物スクリーニングによるEPO誘導能のある化合物の選定およびその作用機序の解明が主な目的となっている。昨年度までのスクリーニングにより2種類のEpo遺伝子発現誘導活性を示す薬剤を同定し、さらにこれらの薬剤が遺伝子発現レベルの解析では、個体に対しても有効である可能性を示した。しかし、これらの薬剤がEPOタンパク質の発現を誘導するか否かは検証が不十分であった。少なくともこれまで実施した投与条件下ではマウス個体で赤血球造血を誘導することはできないことが示唆されたことから、これらの薬剤の薬理活性についての詳細な解析は継続課題ではあるものの、それと同時に新たな新規誘導剤の探索を実施する必要性が生じた。本年度はこの課題に対し、新規スクリーニング系の樹立と、既存HTS系による新規化合物ライブラリーを用いたスクリーニングを行う2つのアプローチで取り組み、後者のアプローチにより新規EPO誘導剤の候補を複数同定している。これらの研究実施内容は概ね昨年度の研究計画通りであり、また、得られたMTXや化合物Aについての薬理活性についての情報や、新たな多数のEPO誘導剤候補を得ることができたスクリーニング結果を鑑みるに、現状は当初の予定以上に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

MTXや化合物Aに加え、新たに得た20種類のEPO誘導剤候補について、化合物の有効性を細胞株、マウス個体を用いた解析により明らかとしていく。まずはmIMCDやA549細胞株に対する投与実験からEpo遺伝子転写誘導効果を検証した後に、野生型マウスまたはdCURE-GFPマウス、AnREDマウスへの投与実験を行い、EPO誘導効果およびその作用機序の解明に取り組む。また、ヒト由来細胞株であるA549細胞株を用いたスクリーニング系の樹立に関しても引き続き取り組み、樹立された後、HTSによる化合物スクリーニングを実施する予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初の研究計画ではA549細胞株を利用したレポーター細胞株の樹立とHTSの実施を計画していたが、同レポーター細胞株の樹立には至っておらず、HTSを実施していない。次年度はHTSの実施および得られた候補化合物の細胞株・マウス個体への投与実験を予定しており、その分の金額を次年度使用額として計上している。

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公開日: 2019-12-27  

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