研究課題/領域番号 |
17K08367
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 幸裕 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30636402)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 創薬化学 / 分子設計 / ケミカルバイオロジー |
研究実績の概要 |
ユビキチン化はタンパク質分解系の一部として研究されてきたが、近年の精力的な研究から生体機能調節を司る重要な役割も有することが明らかとなってきた。特にタンパク質のユビキチン化異常はがんや神経変性疾患などに関与し、死や健康寿命低下の一因となっていることも多数報告されている。したがって、タンパク質の異常なユビキチン化状態を把握できれば、ユビキチン関連疾患のメカニズム解析やユビキチン化状態に応じた診断・治療が可能となると期待できる。 しかし、どのタンパク質が、いつ、どの程度ユビキチン化を受けるかを分析することは非常に困難で細胞レベルでユビキチン化タンパク質を検出・定量するのは難しい。そこで、申請者は細胞内のユビキチン化タンパク質を簡便かつ効率的に検出する手法の開発を究極的な目的とし、研究を行っている。 昨年度までに、E1に結合するかを調べるための1次スクリーニング系の構築を行い、弱いながらもE1に結合することが示唆された低分子化合物を数個見出すことに成功している。本年度は、昨年度見出した化合物のプローブ化を目指し、研究を展開した。昨年度得られた構造活性相関情報を基に、ビオチンプローブ基の導入位置ならびにリンカー構造検討のための数種類の化合物の合成に成功した。現在、それらの活性評価を行っている。また、これとは別に、より高次な評価系の構築を行い、ユビキチン検出プローブの評価を行うために準備が整った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記したように、E1に結合することが示唆された化合物のプローブ化体を数種類合成することができた。合成経路の確立に時間は有したものの、予定した化合物に加え、リンカー構造のことなる化合物を数種類合成するに至った。また、E1スクリーニング系に加え、より高次な活性評価系の構築が完了した。以上のように最終年度の研究計画に向けた準備が整った。
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今後の研究の推進方策 |
今後、平成30年度までに合成したプローブ化体の活性評価を行う。その評価結果を基に、さらに高活性な化合物の創製を目指す。また、より高次な評価系にて、評価することで、ユビキチン化検出プローブとしての有用性を明らかとしていく。
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