研究課題
当該年度は、前年度で構築した多環縮環型化合物の合成法、およびそれを利用して構築されたライブラリーに基づいて、さらなるライブラリー構築に向けた反応開発を行うとともに、ライブラリーを更新し、得られた化合物群の生物活性の評価を行った。前年度までに構築した化合物ライブラリーを用いた解析の結果、セロトニン受容体のなかでも、5HT2C受容体に対しアゴニスト作用を有する化合物の創生に成功した。本アゴニストの受容体選択性について解析したところ、5HT2C受容体のサブタイプである5HT2A, 5HT2Bには作用しないことが明らかとなった。本化合物をシード化合物とし、5HT2C受容体アゴニストに多く観られる二級アミンを導入することで、高活性化合物の創生に成功した。本化合物の特徴としては、低用量でアゴニスト活性を発揮すること、また他の5HT2サブタイプ(5HT2Aおよび5HT2B)に比して選択性が極めて高いことが明らかとなった。またライブラリー構築のダイバーシティーの上昇を目指して、合成手法の開発を行った。昨年度までの検討により、ジエン部にベンゼン環を導入した化合物では環状付加反応が進行しないが、チオフェンでは目的の反応が進行することを見出してきた。さらにフラン環を導入した化合物についても検討した結果、目的の環化反応が進行することを見出した。これらの結果より、複素環が高度に縮環した化合物の簡便合成法の開発に成功した。最後に、本研究課題で構築された化合物ライブラリーの毒性試験もかねて細胞毒性試験を実施し、一部の化合物群において、強い抗腫瘍活性が認められた。そこで、さらに、これら化合物群での抗腫瘍活性発現構造について、構造活性相関を解明した。
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Tetrahedron Letters
巻: 60 ページ: 151278
10.1016/j.tetlet.2019.151278
https://www.hamayaku.ac.jp/lab/la_04.html