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2018 年度 実施状況報告書

Atpenin A5を基盤とした寄生虫選択性を有する新規抗寄生虫薬の創製

研究課題

研究課題/領域番号 17K08370
研究機関北里大学

研究代表者

有馬 志保  北里大学, 薬学部, 助教 (20276158)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード構造活性相関 / 抗寄生虫薬
研究実績の概要

現在、地球温暖化により寄生虫症の感染者数は発展途上国のみならず、先進国においても増加しており、死亡者数も300万人にものぼり寄生虫症対策は世界レベルでの最重要課題である。さらに、近年、抗寄生虫薬に対する耐性種の出現が問題視され、従来とは作用機序の異なる新規抗寄生虫薬の開発が急務である。申請者は、新規作用点としてエネルギー代謝に関わるcomplex IIに注目し、これまでにこのcomplex IIを強力に阻害するatpenin A5の全合成を達成している。しかしながら、このatpenin A5は哺乳類のcomplex IIに対しても阻害活性を示すという欠点を有しており実用化には至っていない。そこで本研究は、寄生虫のcomplex IIを選択的に阻害する新規誘導体の理論的な設計並びに構造活性相関研究により、atpenin A5を基盤とした寄生虫選択性の高い新規抗寄生虫薬の創製を目指している。前年度は、哺乳類及び寄生虫complex IIとatpenin A5との共結晶X線構造解析の結果より、新規誘導体の寄生虫選択性を向上させるための化学変換を行う部位として最も有望と考えられるatpenin A5側鎖2位に特化した構造活性相関研究を行い、ベンジル基、アリル基、ナフチルメチル基等を導入した新規誘導体を合成し、それらの寄生虫及び哺乳類のcomplex IIに対する阻害活性を評価した。その結果、ベンジル基を導入した新規誘導体が、atpenin A5と比較してcomplex II阻害活性は減弱するものの、寄生虫選択性が僅かながら向上することを見出した。そこで今年度は、更なる最適化を目的にベンジル基のフェニル基上に置換基を有する誘導体を種々合成し、寄生虫及び哺乳類のcomplex IIに対する阻害活性を評価した。その結果、より寄生虫選択性が向上した新規誘導体を見出す事ができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、今年度は前年度に得られた結果をもとに更なる最適化を目標に新規誘導体を合成し、構造活性相関研究を行った。その結果、寄生虫選択性が向上した新規誘導体を見出す事に成功している。
そのため「研究目的」の達成度は、おおむね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

来年度は、atpenin A5側鎖2位に特化した構造活性相関研究の取り纏めを行うとともに、予定通りin silico分子設計により提案された誘導体合成にも着手し、構造活性相関研究を行う予定である。研究結果に関しては、まず新規誘導体の特許を取得し、随時関連する学会での発表や論文を通して公表していく予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Structure-activity relationship studies of atpenin A5 analogs with chemical modification of the side chain moiety2019

    • 著者名/発表者名
      Ohtawa M.; Yano, K.; Miyao, A.; Hiura, T.; Sugiyama, K.; Arima S.; Kita, K.; Omura, S.; Nagamitsu T.
    • 雑誌名

      Tetrahedron Letters

      巻: 60 ページ: 1037-1042

    • DOI

      10.1016/jtetlet.2019.03.026

    • 査読あり / 国際共著

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公開日: 2019-12-27  

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