先例のない新規フェノタイプを伴う細胞周期阻害剤1は、従来の抗がん剤とは全く異なる分子細胞生物学的性質を示した。その活性を医薬品レベルまで向上させることができれば、今までにない抗がん剤に進化することが期待される。また、化合物1の標的分子の解明は、抗がん剤の新規標的分子として提示されることから、がん創薬研究への波及効果が大きい。 今年度は、化合物1のプローブ化をさらに進めるとともに、作用機序解明の検討を実施した。現在までに合成した①R1~R3を変換した化合物&新たな官能基(FG)導入、②置換基R4の探索によるバリエーション拡充、③上記①および②のハイブリッドした化合物の合成により解明した構造活性相関をもとに、化合物1のプローブ化に適した位置にリンカーを介してタグを導入した化合物を合成した。 一方で昨年度は、使用予定であった細胞株の培養に難航したことで研究が遅延したが、今年度は培養条件の見直しにより安定的に細胞培養することができるようになった。培養した細胞の抽出液を調製し、上記で合成した化合物1のプローブ分子をインキュベーションした。その結果、標的分子と思われるタンパク質を補足することができた。
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