研究実績の概要 |
シード化合物HUHS015は、大阪大学との共同研究で見出した世界初の低分子PCA-1阻害剤である。当該化合物は、前立腺由来細胞DU145を用いたxenograftモデルにおいて、有効性を示すことを明らかにしてきたが、その時の用量は32 mg/kg(皮下投与、連投)と、臨床を目指すには、活性強度に問題がある。現在、HUHS015の高い安全性を確保しながら(1ヶ月近い連投においても、肝・腎重量、GOP, GPT, BUN, creatinine濃度などで異常値が見られていない)、もう1ランクのin vivo活性の向上が望まれており、その達成を目指している。我々は、この目的に向け、AMED支援を受け、外部合成部隊等も活用し、まずは化合物の構造的なdiversity拡大を目指し、広範な誘導体展開を行ってきた。また、評価系についても従来のPCA-1阻害活性(酵素阻害活性)とDU145細胞の増殖抑制効果(細胞レベルの評価)に加え、S9mixを用いた肝臓での代謝を反映した系や、経口投与後1時間後の血中濃度など薬物動態面の評価系も新たにスクリーニングに組み込み、さらなる多角的な最適化研究を進めてきた。そして、今期にはHUHS015並のPCA-1阻害活性及びDU145細胞増殖抑制活性を有するシード候補化合物を複数見出すことに成功している。具体的にはピラゾール環4位ベンジル基を直結フェニル基への置換、4位及び5位に環を結んだ新母核の創出などである。これらの化合物群は、HUHS015と比較し、構造変換が進んでいるため、今後経口吸収性やin vivo活性などを明確にし、次リード候補化合物を選定し、目標達成に向け駒を進める計画である。
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