研究課題/領域番号 |
17K08380
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
大坪 忠宗 広島国際大学, 薬学部, 准教授 (30365879)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 蛍光基質 / シアリダーゼ / 固体担持基質 / インフルエンザ |
研究実績の概要 |
これまでに開発が完了し、インフルエンザウイルス感染細胞や大腸がん病変部位の蛍光組織染色に用いてきた誘導体(BTP3-Neu5Ac)を起点として、固体微粒子に導入するためのリンカー部位の導入を検討した。 BTP3-Neu5Ac前駆体(BTP3-Neu5AcのO-アセチル、1-メチルエステル体)の臭素原子を足場として炭化水素鎖の導入を試みた。末端にアセチレン部位を有するオリゴエチレングリコールを薗頭カップリングで導入することが出来た。合わせて合成した化合物の大量合成を行い、約1g確保した。さらに、他方の末端の水酸基をトシル化して、固体微粒子への導入準備を整えることが出来た。 シアリダーゼ基質のアグリコン部分が、BTP3である誘導体、BTP3の臭素をアセチレンで置換した誘導体の蛍光色は、それぞれ黄緑色、やや黄色味を帯びた黄緑色である。複数の条件を設定してシアリダーゼ活性を検出するためには、識別の容易な異なる色の誘導体を用意することが好ましい。従って、BTPのパラ位にアルコキシ基を導入して橙色~赤色の蛍光を示す誘導体の合成も検討した。ハイドロキノンモノベンジルエーテルをホルミル化して、2-ヒドロキシ-5-ベンジルオキシベンズアルデヒドを合成した後、パラ位にベンジルオキシ基を持つBTP誘導体を合成した。続いて、シアル酸とカップリング、ベンジル基の除去、モノクロロオリゴエチレングリコールでアルキル化した。これにより、固体微粒子への足場を確保しつつ電子供与基であるアルコキシ基を有する誘導体の合成ルートを確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
BTP3-Neu5Acを起点として、固体微粒子へ結合する足場を持つ誘導体を大量合成することができた。また、異なる蛍光色を示す誘導体についても、ハイドロキノンモノベンジルエーテルを出発原料として用いて、安価な方法で合成法を確立することができた。 現在は、青系の蛍光色を示す誘導体の合成法を検討しており、実用的な収率、作業量で合成可能であることが示唆されている。 固体導入のためのオリゴエチレングリコール鎖の末端を活性化した誘導体も、1g程度合成することができており、固体微粒子への導入直前まで進行している。
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今後の研究の推進方策 |
黄緑系、赤系の基質に続いて、青系の蛍光を示す誘導体の合成法を確立する。 合わせて、現在はオリゴエチレングリコール鎖の長さが特定のものであるが、容易に延伸可能な置換基を導入した誘導体、あるいは手法を開発する。 同時に、現在確保しているトシル化された誘導体を固体微粒子に導入し、周辺保護基を除去して固体担持シアリダーゼ基質を合成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定していた高額機器が価格面で折り合わず、合成過程で必要となる低温反応装置を導入したが、小型化低価格化により、予算的に余裕が生じた。現在、合成サンプルを固体化するために必要な凍結乾燥器が劣化していること、使用しているパソコンのサポートが既に切れていて、ソフトウェア面のトラブルも増えてきているため、今後リプレースを検討している。
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