研究課題/領域番号 |
17K08385
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
出水 庸介 国立医薬品食品衛生研究所, 有機化学部, 部長 (90389180)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 非天然型アミノ酸 / ペプチド / Post-modification / 二次構造解析 / ヘリカル構造 |
研究実績の概要 |
抗体医薬の機能をペプチド単位で発現させる中分子医薬品の開発が盛んに行われている。特に、タンパク質の二次構造の中でヘリカル構造はDNAや他のタンパク質を認識する上で重要な役割を果たしているために、安定なヘリカル構造を形成できるペプチドの設計は高機能中分子医薬品を開発する上で重要なアプローチのひとつである。そこで申請研究では、『二次構造制御を基軸としたペプチド創薬研究』を目的とした。具体的には、申請者がこれまでに開拓を行ってきた、短鎖ペプチドの二次構造制御に関する研究を基軸とし、DDSキャリアペプチドの開発、タンパク質間相互作用(PPI)阻害ペプチドの開発、標的タンパク質を分解誘導できるペプチドの開発、を行う。本年度は、ジ置換アミノ酸の特徴であるペプチドのヘリカル構造固定化を利用した、①側鎖に官能基を有するジ置換アミノ酸、および、②Post-modification可能なジ置換アミノ酸(piC4N3)の設計・合成を行った。さらに、これらのアミノ酸を含有するペプチドを合成し構造特性解析に関する研究を行なった。①および②のアミノ酸ともに、アキラルなApiをテンプレートとしているため、不斉合成を必要とせず容易に大量合成ができた。またこれらのアミノ酸は通常の固相法によりペプチドへの導入が可能であった。合成したジ置換アミノ酸ApiC4N3は短鎖ペプチドのヘリカル構造を制御できること、さらにペプチド上で側鎖を簡便に修飾できること、官能基の修飾によりペプチドの二次構造が変化しないことを明らかとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ペプチドのヘリカル構造を安定化でき、さらにペプチド上で官能基変換ができる非天然型アミノ酸の開発に成功した。これらのアミノ酸は、簡便に大量合成できること、通常の固相法によりペプチドに導入できることから、様々な機能性ペプチド開発に有用である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、DDSキャリアペプチドの開発、PPI阻害ペプチドの開発、標的タンパク質を分解誘導できるペプチドの開発も同時に行なっていることから、今後は開発したアミノ酸を利用した機能性ペプチド開発へと展開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該研究テーマにおいて他の研究補助金も同時に使用していたため。
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