研究課題
低分子医薬品と抗体医薬の特性を併せ持つ中分子ペプチド医薬品の開発が盛んに行われている。特に、タンパク質二次構造のヘリカル構造を模倣したオリゴペプ チドは、DNAや他のタンパク質を認識し機能をコントロールできることから、安定なヘリカル構造を形成できるペプチドの設計は高機能中分子医薬品を開発する上で重要なアプローチのひとつである。本研究では、『二次構造制御を基軸としたペプチド創薬研究』を目的とした。具体的には、筆者がこれまでに開拓を行ってきた、短鎖ペプチドの二次構造制御に関する研究を基軸とし、DDSキャリアペプチドの開発、タンパク質間相互作用(PPI)阻害ペプチドの開発、標的タンパク質を分解誘導できるペプチドの開発、を行った。本年度は、核内受容体(エストロゲン受容体(ER)、アンドロゲン受容体(AR))を標的とした分解誘導ペプチドの開発を行った。具体的には、ER、ARに結合できるコアクチベータのヘリカルモチーフをミミックしたヘリカルペプチド(PERM3)に細胞膜透過性ペプチド(R7)、ユビキチンリガーゼリガンド(X=MV1、LCL161、VH032、Pomalidomide)をコンジュゲートしたキメラ分子を設計-合成(X-PERM3-R7)し、それらのER、ARに対する分解活性を評価した。その結果、何のペプチドもER、ARに対して同等の分解誘導活性を有すること、これらの分解にはプロテアソームが関与していることを明らかとした。
2: おおむね順調に進展している
タンパク質表面に結合できるペプチドを利用することで、標的タンパク質を分解誘導できるキメラ分子の開発に成功した。本研究を応用することで、リガンドが存在しないタンパク質(転写制御因子など)への展開が期待できる。
昨年度に開発した高機能DDSキャリアペプチド、本年度に開発した標的タンパク質分解誘導ペプチドの成果を併せることで、中分子ペプチド医薬品開発促進に資する基盤技術を提供する。
当該研究テーマにおいて他の研究補助金も同時に使用していたため。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (53件) (うち国際学会 7件、 招待講演 4件) 図書 (2件)
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