研究課題
アレルギー性疾患において、アレルゲンや環境因子と病原体センサーを含めた2型免疫応答の関与について未だ明らかになっていない。さらに常在細菌である黄色ブドウ球菌は、アトピー性皮膚炎の発症や悪化と相関があるとされているが、その詳細な分子機構は明らかになっていない。今回、我々は黄色ブドウ球菌由来のスーパー抗原と類似の構造を持ちながらスーパー抗原活性を示さないStaphylococcal superantigen-like proteins(SSL)分子やα毒素が、マスト細胞や好塩基球に直接作用し、化学伝達物質の放出やサイトカイン産生を誘導することを明らかにした。特にSSL12は、IgE非依存的にマスト細胞を活性化すること。またα毒素は、マスト細胞に結合するが、単独では活性化を示さず、IgEやイオノマイシン存在下で、その作用を増強することが分かった。SSL12やα毒素は、マスト細胞に対し細胞傷害活性を示さないことから、細胞表面上の受容体を介していることが示唆された。この結果は既知のδ毒素とは異なった性質を示し、炎症を惹起、悪化させる毒素であると考えられる。病原体受容体であるToll様受容体2(TLR2),および TLR4の遺伝子欠損マウス由来 骨髄培養マスト細胞を用いた場合でも、野生型マウスと同様のサイトカイン産生や脱顆粒が観察できた。このような細菌由来分子がIgEやTLR非依存的にマスト細胞の活性化を起こすことは、アレルギー性疾患などの発症や炎症の慢性化に関与している可能性を示唆している。
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