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2019 年度 実績報告書

亜ヒ酸毒性発現機構におけるペントースリン酸経路の役割

研究課題

研究課題/領域番号 17K08391
研究機関東京薬科大学

研究代表者

高橋 勉  東京薬科大学, 薬学部, 講師 (00400474)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードヒ素 / ペントースリン酸経路 / リボース-5-リン酸 / 転写因子
研究実績の概要

ヒ素はがんや心血管疾患など様々な疾患リスクを上昇させる環境汚染物質である。一方、急性前骨髄性白血病の治療薬として利用されるなど抗腫瘍活性も有しているが、そのメカニズムは不明な点が多い。2019年度は、がん細胞としてヒト子宮頸がん由来HeLa細胞を用いて、亜ヒ酸毒性発現機構におけるペントースリン酸経路関連酵素の関与について検討した。HeLa細胞を亜ヒ酸で処理し、ペントースリン酸経路関連酵素のmRNAレベルを調べたところ、酸化的段階関連因子(PGLSおよび PGD)のmRNA発現レベルはほとんど影響を受けなかった。一方、非酸化的段階関連因子(RPIAおよびTKT)のmRNAおよびタンパク質の発現レベルは、亜ヒ酸の処理濃度および処理時間依存的に低下した。したがって、亜ヒ酸はペントースリン酸経路の非酸化的段階関連因子の発現を選択的に抑制すると考えられる。次に、HeLa細胞におけるペントースリン酸経路の非酸化的段階と細胞増殖との関係を調べるため、RPIAまたはTKTのsiRNAを導入したHeLa細胞の生細胞数を測定した。その結果、RPIAのノックダウンはHeLa細胞の生細胞数にはほとんど影響を与えなかったが、TKTのノックダウンはHeLa細胞の生細胞数を有意に低下させた。また、亜ヒ酸処理したHeLa細胞において、TKT発現レベルの低下は生細胞数の低下に先行して引き起こされることが確認された。以上のことから、亜ヒ酸は非酸化的段階関連因子であるTKTの発現を抑制することによって、HeLa細胞の増殖を阻害している可能性が考えられる。今後、亜ヒ酸によるTKTの発現抑制機構をさらに検討することで亜ヒ酸による抗腫瘍効果メカニズムの解明に繋がることが期待される。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Nuclear factor erythroid 2-related factor 2 (NRF2) is a negative regulator of tissue plasminogen activator synthesis in cultured human vascular endothelial EA.hy926 cells2020

    • 著者名/発表者名
      Takahashi T., Nakano T., Katoh G., Shinoda Y., Yamamoto C., Yoshida E., Kaji T., Fujiwara Y.
    • 雑誌名

      The Journal of Toxicological Sciences

      巻: 45 ページ: 237~243

    • DOI

      10.2131/jts.45.237

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Arsenite inhibits gene expression of perlecan, syndecan-1, -2, -3 and biglycan in cultured vascular endothelial cells2020

    • 著者名/発表者名
      Wu D., Nakano T., Tsuneoka Y., Takahashi T., Shinoda Y., Kaji T., Fujiwara Y.
    • 雑誌名

      Fundamental Toxicological Sciences

      巻: 7 ページ: 77~83

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Arsenite exerts cytotoxic effect through inhibition of synthesis of ribose-5-phosphate in human acute monocytic leukemia THP-1 cells.2019

    • 著者名/発表者名
      Takahashi T., Nakano T., Fujiwara Y.
    • 学会等名
      IUTOX 15th International Congress of Toxicology (ICTXV)
    • 国際学会
  • [学会発表] 亜ヒ酸による転写因子の活性制御を介した毒性発現メカニズム2019

    • 著者名/発表者名
      高橋勉,藤原泰之
    • 学会等名
      第63回日本薬学会関東支部大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 亜ヒ酸によるHeLa細胞のトランスケトラーゼ発現抑制を介した増殖阻害2019

    • 著者名/発表者名
      高橋勉,細野雅人,中野毅,藤原泰之
    • 学会等名
      フォーラム2019:衛生薬学・環境トキシコロジー
  • [学会発表] 亜ヒ酸による細胞選択的な血液線溶系への影響とその分子メカニズム2019

    • 著者名/発表者名
      中野毅,荒木祐美,高橋勉,山本千夏,鍜冶利幸,藤原泰之
    • 学会等名
      メタルバイオサイエンス研究会2019

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公開日: 2021-01-27  

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