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2017 年度 実施状況報告書

糖鎖解析技術を用いたロタウイルス宿主特異性と種間伝播の分子基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K08398
研究機関大阪大谷大学

研究代表者

山田 佳太  大阪大谷大学, 薬学部, 講師 (80584185)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードNeuAc / A型抗原 / B型抗原
研究実績の概要

ロタウイルス結合糖鎖と宿主特異性の関係性を明らかにするため、ヒト・ウシに感染するウイルス株、ヒト・マウスへ感染するウイルス株、及びサルへ感染するウイルス株の結合糖鎖を糖鎖アレイ法で解析した。糖鎖アレイのバリエーションは、硫酸化糖鎖やシアロ糖鎖、血液型抗原を含む40種類とした。いずれのウイルス株もシアロ糖鎖に対する親和性が確認された。特に、ヒトへ感染性を示すウイルス株では、NeuAca2-3Galに強く結合した。一方、サルに感染性を示すウイルスでは、シアル酸の結合様式影響受けず、いずれのシアロ糖鎖にも強く結合した。また、ヒト・ウシに感染性を示すウイルス株ではA型抗原に対して強い親和性が確認されたが、その他のウイルス株ではA型抗原への強い結合は観察されなかった。また、いずれのウイルス株も、B型抗原に結合することが明らかになった。以上のように、各ウイルス株が複数の糖鎖と結合することが明らかになった。さらに、結合糖鎖と宿主特異性を考察するため、今回使用したいずれのロタウイルス株にも高い感受性を有するMA104細胞の糖鎖プロファイルを解析した。MA104細胞上には、上記ウイルス株が結合したA抗原やB抗原等は殆ど発現していないことが明らかになった。一方シアロ糖鎖の発現はMA104細胞では確認されているため、上記のウイルス株とMA104細胞の感染にはシアロ糖鎖の相互作用が重要になると考えられる。これらの結果から、ロタウイルスは結合可能な複数の糖鎖構造から、宿主細胞表面糖鎖プロファイルに最も合致した糖鎖を選択し結合していることが予測される。この現象は、ロタウイルスの組織への感染にも共通することなのか関心が持たれる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の予定通り、いくつかのロタウイルス株の結合糖鎖の解析を達成し、ウイルス株に特徴的な結合糖鎖を見出している。また、当初の計画に加えて、MA104細胞の糖鎖プロファイルを解析した。ウイルス結合糖鎖と細胞発現糖鎖プロファイルの比較解析を行い、ロタウイルス結合糖鎖と宿主細胞への感染を関連付ける知見を取得している。一部、購入を予定していた糖鎖試薬が納入されなかっため、解析が未達成の部分は残されている。また、測定するウイルス株の種類の数も、もう少し増やさなければならない。

今後の研究の推進方策

ロタウイルスのMA104細胞への感染では、細胞表面上のシアロ糖鎖がウイルスの標的であることを示す結果が得られた。今年度は、当初の計画通り、ロタウイルスの感染部位となるヒト回腸組織試料の発現糖鎖解析を行いロタウイルス結合糖鎖の発現状況を明らかにする。この解析結果から、ロタウイルスの回腸組織への感染が、MA104細胞と同様に、シアル酸が重要となるのか、あるい別の糖鎖が関与しうるのかを考察する。また、ヒト以外の動物種の回腸組織試料が入手できればそれらも解析し、発現糖鎖プロファイルの違いから、ウイルス株の宿主特異性を考察する。さらに、前年度入手できなかった糖鎖試薬や新たなウイルス株が入手できれば、糖鎖アレイを用いたウイルス結合糖鎖解析も合わせて実施する。

次年度使用額が生じた理由

糖鎖アレイ作成用に購入を検討していたいくつかの糖鎖試薬が受注生産となっていたが、その作製が年度内に間に合わなかったため、それらの試薬の購入費用として当てていた金額が未使用となり、次年度使用額となっている。次年度において、糖鎖試薬が購入できる状況になれば、余剰の金額は消化される。一方納品が難しい場合は、次年度計画している組織試料の購入費用が非常に高額であるため、組織試料の購入の補填に使用したい。また、目的の糖鎖試薬が納入されなければ、生体試料から調製することも予定しており、原料となる生体試料及び、糖鎖調製に必要な、試薬やクロマトグラフィー用のカラム購入費として使用したい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ロタウイルス増殖抑制活性を示す牛乳ラクトフォリンの分子基盤2018

    • 著者名/発表者名
      遠藤 江美、大野 翔平、小林 純子、山田 佳太、中川 智行、矢部 富雄、鈴木 徹、中込 とよ子、中込 治、稲垣 瑞穂
    • 学会等名
      日本農芸化学会2018年度年大会

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公開日: 2018-12-17  

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