研究課題
成分転写制御因子KdrABが多剤排出ポンプKexDの遺伝子周辺域と直接相互作用しているどうかについて明らかにするため、2成分転写制御因子KdrABのうちレスポンスレギュレータであるKdrAとDNAとの相互作用の有無を明らかにすることを目指している。平成29年度に作成したKdrA大量発現用プラスミドでは、KdrAの発現量が少ないという問題が発生したため、新たにプラスミドを構築しなおした。このプラスミドでKdrAの発現実験を行った結果、KdrAの発現を確認することができた。しかし、一部のタンパク質が不溶性の凝集体となっていることも明らかになった。凝集体が存在すると、大量精製の効率が低下するため、現在、より良い発現条件を検討している。また、本課題ではKexDを大量発現しているKdrB変異株と親株についてRNA発現解析を行うことにしている。解析を行うためのデータベースを構築し、連携研究者が所属する広島大学自然科学研究支援開発センターの協力を得て、RNAの品質確認を行った。その結果、用意したRNAはRNA発現解析に必要な品質条件を満たしていることがわかった。調製したTotal RNAの大部分はリボソームで占められているため、次にこのRNAからリボソームRNAを除去する必要がある。しかし、Total RNAからリボソームRNAを除去する試薬の調達が不可能(試薬の販売停止)となった。代替品を用いてリボソームRNAの除去状況を確認したが、リボソームRNAの除去が出来ていないことが判明した。現在、別のプロトコールによる方法によって広島大学自然科学研究支援開発センターが条件検討を行っている。条件検討が終了次第、RNA発現解析を実施する予定である。
4: 遅れている
平成29年度のKdrAの大量発現に問題が発生し、平成30年度にプラスミドの構築からやり直す必要が生じた。また、昨年度中に実施予定だったRNA発現解析のプロトコールは広島大学自然科学研究支援開発センターで確立されていたが、使用予定の試薬の販売をメーカー側が停止したため、プロトコールの再構築をせざるを得なくなった。
RNA発現解析については、当初使用予定であったMiSeqからHiSeqに変更する方向で検討している。Total RNAからリボソームRNAを除去するプロトコールでは、約1000万以上のリード数を担保可能なMiSeqで十分なデータが得られることがわかっていた。しかし、リボソームRNAを除去するキットが販売停止になった結果、いくつかの検討が必要となった。Total RNA中の大部分を占めるリボソームRNA存在下でもリード数が圧倒的に多い(3億リード程度)HiSeqを使用すれば、リボソームRNA存在下でも十分なmRNAの発現に関するデータが得られると考え、この方向で実施する予定である。KdrA精製のためのプラスミド構築については、新たに構築したプラスミドでは発現量を上昇させることができたものの、2量体を形成すると考えられている転写制御因子の性質から、凝集体が多く形成されるという問題が発生した。低温で発現させるなどの条件検討を進めつつ、さらに別のベクターの使用も視野に入れ実施する。
使用予定費目のうち最も大きい発現解析が、H29年度からH30年度にずれ込んだため、繰越額が大きくなった。また、当初の予定であった業者による外注では試薬の費用と解析の費用が一体となっているが、広島大学の解析センターを利用できることになった関係から、試薬購入のコストはかかっているが、解析にかかる費用が削減されている。
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Sci Rep.
巻: 9 ページ: 4854
doi: 10.1038/s41598-019-41237-7.