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2017 年度 実施状況報告書

腎不全に合併する心血管疾患への高ホモシステイン血症の関与

研究課題

研究課題/領域番号 17K08428
研究機関東京薬科大学

研究代表者

長谷川 弘  東京薬科大学, 薬学部, 講師 (80218453)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード腎不全 / 高ホモシステイン血症 / 高血圧 / 血管障害 / メチオニン / ホモシステイン / 代謝フラックス / 安定同位体
研究実績の概要

5/6腎摘除(Nx)ラットを作出した.体重をもとにした摘出量算定式を考案し腎摘除を行った結果,摘除量を目標量とする75%にすることができた.これを術後9週にわたり飼育した.腎機能の指標となる血漿クレアチニンは 1 mg/dL以上であり,偽手術(Sham)ラットに比べて有意に高値を示した.しかし,術後9週において,5/6腎摘除ラットの血漿ホモシステインは,Shamラットよりもむしろ低値であった.このことから,5/6腎摘除しても高ホモシステイン血症モデルとはならないことがわかった.
術後2週目よりNxラットおよびShamラットをメチオニン強化食で飼育し,高ホモシステイン血症(ホモシステインの血漿濃度 約 30μM)とした.経週的に血圧を測定したところ,メチオニン強化食で飼育したShamラットの収縮期血圧(SBP)が普通食で飼育したShamラットよりも有意に高値を示すこと,普通食あるいはメチオニン強化食で飼育しているNxラットのSBPが,術後4週目以降徐々に上昇することなどが明らかになり,5/6腎摘除が血圧上昇因子であることが示された.術後10週目で胸部大動脈を摘出し,血管内皮及び平滑筋に作用する種々の薬物に対する血管収縮弛緩反応性をマグヌス法により測定した.その結果,5/6腎摘除によって内皮依存的な血管弛緩性が低下すること,5/6腎摘除,高ホモシステイン血症それぞれ単独では認められない血管平滑筋の弛緩障害性が,5/6腎摘除と高ホモシステイン血症が合併すると認められることが明らかになった.さらに,5/6腎摘除と高ホモシステイン血症が合併することで,血管平滑筋においてprotein kinase Gの作用点より下流に何らかの障害が起きていることを示唆する知見が得られた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ヒトの末期腎不全で認められる高ホモシステイン血症のモデルとなるように,5/6腎摘除を施行し長期間飼育したのにもかかわらず,5/6腎摘除だけでは高ホモシステイン血症とはならなかった.5/6腎摘除による腎障害と高ホモシステイン血症状態が長期間持続していることが研究遂行の必須条件であるため,5/6腎摘除ラットをメチオニン強化食で飼育することで高ホモシステイン血症を合併した腎不全モデルを作出した.モデル作出をやりなおしたことで,研究遂行がやや遅れた.一方,ホモシステイン代謝酵素が発現している腎を部分切除したのにもかかわらず,高ホモシステイン血症を呈しなかった原因についても研究対象とすることにした.

今後の研究の推進方策

立案計画に従い,研究を遂行する.5/6腎摘除後,メチオニン強化食で数週間飼育し高ホモシステイン血症を維持させた腎不全モデルラットに対して,安定同位体標識メチオニンあるいはホモシステインを投与する代謝フラックス解析を施行する.このモデルでは高メチオニン血症も呈しているので,その影響についても検討する必要がある.そこで,ホモシスチン強化食による高ホモシステイン血症モデル作出も検討する.あわせて,5/6腎摘除だけでは高ホモシステイン血症にならなかった原因についても検討する.

次年度使用額が生じた理由

(理由)
当該年度に購入予定であったメチオニンの安定同位体標識体の納品が遅れたこと,論文執筆が遅れ英文校閲費がかからなかったことから,次年度使用額が生じた.
(使用計画)
上記メチオニンの安定同位体標識体の購入費に充てる.また,複数の論文を執筆する予定なので,その英文校閲費及び投稿費にあてる.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018 2017

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Goto-Kakizaki糖尿病モデルラットにおけるメチオニンーホモシステイン代謝系の代謝フラックス解析2018

    • 著者名/発表者名
      長谷川 翔,廣野 真帆,長谷川 弘,市田 公美
    • 学会等名
      日本薬学会第138年会
  • [学会発表] GC-MSを検出手段とする安定同位体希釈分析法とMosher試薬を用いたDL-アミノ酸の分別定量2017

    • 著者名/発表者名
      長谷川 弘,篠原 佳彦,市田 公美
    • 学会等名
      新アミノ酸分析研究会第7回学術講演会

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公開日: 2018-12-17  

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