研究課題/領域番号 |
17K08428
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
長谷川 弘 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (80218453)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 腎不全 / 高ホモシステイン血症 / 高血圧 / 血管障害 / メチオニン / ホモシステイン / 代謝フラックス / 安定同位体 |
研究実績の概要 |
5/6腎摘除の有無(Nx(+)とNx(-))とメチオニン強化食による高ホモシステイン血症の有無(Met(+)とMet(-))の組み合わせによって作出した4種の病態モデルラットに対して、安定同位体標識メチオニンおよびホモシステインによる代謝フラックス解析を施行した。これまでにNx(-)+Met(-)群 (コントロール群)、Nx(+)+Met(-)群、Nx(-)+Met(+)群の測定を終了した。その結果、(i)Nxによって投与前のMetの血漿濃度は有意に上昇するが、Hcyの血漿濃度には差異が認められないこと、(ii)Met強化食で飼育するとMetおよびHcyの血漿濃度は著明に上昇するが、それらの血漿濃度は一晩(約16時間)絶食によりコントロール群と差異を認めない濃度まで低下すること、(iii)コントロール群とNx(+)+Met(-)群では、メチオニンからホモシステインへの脱メチル化代謝回転速度には差異が認められないが、ホモシステインのメチオニンへの再メチル化代謝回転速度はNxによって低下すること、(iv)コントロール群とNx(-)+Met(+)群では、脱メチル化代謝回転速度および再メチル化代謝回転速度のいずれも差異を認めないこと、などが明らかになった。 また、高メチオニン血症を伴わず高ホモシステイン血症を呈する実験モデル作出を目指し、ラットを0.5%ホモシスチン食で5週間飼育した。その結果、メチオニンの血漿濃度は標準食で飼育したラットと同程度であり、ホモシステインの血漿濃度は約20nmol/ml(健常ラットで5~8nmol/ml)に上昇することがわかった。このモデルも一晩絶食すると、ホモシステインの血漿濃度は健常ラットと差異を認めなくなった。しかし、高メチオニン血症を伴わない高ホモシステイン血症を作出できることが確認され、このモデルでの血管障害性検討の道筋をつけることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒトの末期腎不全で認められる高ホモシステイン血症のモデルとなるように、5/6腎摘除を施行し長期間飼育したのにもかかわらず、5/6腎摘除だけでは高ホモシステイン血症とはならなかった。5/6腎摘除による腎障害と高ホモシステイン血症が長期間持続していることが研究遂行の必須条件であるため、5/6腎摘除ラットをメチオニン強化食で飼育することで高ホモシステイン血症を合併した腎不全モデルを作出することにした。そのため、結果を評価する因子が追加され、いわゆる2x2モデルとなった。当初予定よりも2群多い病態モデルに対して、代謝フラックス解析を施行しているため、研究遂行がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
立案計画に従い、研究を遂行する。Nx(+)+Met(+)群の解析のほかに、ホモシスチン強化食による高ホモシステイン血症モデルに5/6腎摘除を行い作出したモデルに対しても代謝フラックス解析を施行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)宿泊を伴わない学会に参加し成果を発表したため、旅費の支出が当初予定よりも少額であった。 (使用計画)論文執筆における英文校閲費及び投稿費に充当する。
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