研究課題
ロイシンリッチα2 グリコプロテイン(Leucine rich α2 glycoprotein, LRG1)は、関節リウマチや炎症性腸疾患など、悪化と緩解を繰り返す複雑な病態を反映するバイオマーカーとして注目されている。一方で、脳梗塞は炎症を含む複雑な病態をたどり、病態を反映するバイオマーカーの開発が待たれている。脳梗塞後、脳のリモデリングに伴い、血管新生が行われていることから、LRG1の脳梗塞後病態を反映して、増減することが予想される。しかし、脳梗塞発作後のLRG1の動態や生理的役割などについて報告されている例は少ない。よって、本研究は、マウス脳梗塞モデルを用い、LRG1の動態を明らかにした後、脳梗塞患者の検体を用い、血中LRG1濃度を測定することで、脳梗塞バイオマーカーとしての有用性を検証した。本年度は、脳梗塞患者の検体を用い、血中LRG1濃度を測定することで、脳梗塞バイオマーカーとしての有用性を検証した。その結果、脳梗塞患者では健常人と比べて、血中LRG濃度が有意に高値であった。前年度までに脳梗塞モデルマウスを用いて、MCA閉塞24時間後、血中LRG1濃度は有意に増加することを明らかにしており、脳梗塞病態において、血中LRG1濃度が増加することが示唆された。よって、血中LRG1濃度は脳梗塞病態のバイオマーカーの候補となることが期待された。
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