研究課題
本研究は、精神疾患合併妊婦の最適な周産期管理システムを構築することを目的として行った。このシステムの基盤となるのは、多職種にわたる医療者と精神疾患を有する女性自身を含めた妊娠・授乳期の医薬品使用に関する情報共有である。① 精神疾患合併妊娠における周産期予後の後方視的検討:研究者らはこれまでに、精神疾患合併妊娠症例における妊娠・授乳期の抗精神病薬使用に関する情報共有状況と周産期予後を後方視的な検討を行った。双極性障害合併妊娠の周産期予後の検討については、妊娠糖尿病のリスクが上昇する可能性が示唆され、その研究成果を学術論文としてすでに公表した。また、統合失調症合併妊娠については、抗精神病薬使用に関する医療者と患者の妊娠中からの情報共有が、患者の授乳状況を改善する可能性が示唆された。② 精神科医師における妊娠・授乳期の向精神薬使用に関する意識調査:茨城県内の医療機関に勤務する精神科医師を対象として妊娠・授乳期の向精神薬使用に関する意識調査を行い、とくに選択的セロトニン再取り込み阻害薬の使用に関しては、胎児へのリスクを理由として妊娠を契機に中断を選択する医師が少なくないという現状が明らかになった。③ 精神疾患合併妊娠の周産期管理システムの構築:①、②の成果をふまえ、2018年度は精神疾患合併妊婦の最適な周産期管理システムの構築を開始した。具体的には、産婦人科医師、精神科医師、助産師、保健師、薬剤師を含めた多職種・多施設(地域行政を含む)のメーリングリストを整備し、妊娠・授乳期の医薬品使用に関する情報と必要とされる医療資源・社会資源の情報を共有することができるようにした。また、茨城県内の周産期メンタルヘルスに関する研究会を発足、2018年2月から2019年2月までに3回にわたり研究会を開催し、茨城県内におけるこの分野でのニーズを確認した。
特集記事 「月刊薬事」2020年3月号(Vol.62 No.04)【「今さら聞けない」をスッキリ解消する 妊娠・授乳と薬】[妊娠と薬]胎児の発達と薬物曝露の影響(催奇形性を含む)https://www.jiho.co.jp/shop/list/detail/tabid/272/pdid/93573/Default.aspx
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日本周産期・新生児医学会雑誌
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巻: 55 ページ: 764-768