研究課題/領域番号 |
17K08436
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
佐藤 洋美 千葉大学, 大学院薬学研究院, 講師 (30506887)
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研究分担者 |
畠山 浩人 千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (70504786)
樋坂 章博 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (80420206)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | モデル基盤メタアナリシス / 第Xa因子阻害剤 / PPK/PDモデル / PT-INR / 大規模臨床試験 / 脳梗塞 / 大出血 / 心房細動 |
研究実績の概要 |
今年度はモデル基盤メタアナリシス(MBMA)の手法で、3種の第Xa因子阻害剤(FXaI),リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバンの大規模臨床試験情報より得られた被験者の情報を活用したモデル構築を完成させた。FXaIの薬効指標となるプロトロンビン時間国際標準化比(PT-INR)の情報を統合し、これの分布を母集団薬物動態/薬力学(PPK/PD)モデルを用いて推定し、FXaIによって発症予防が期待される「虚血性脳卒中及び全身性塞栓症 (ISSE)」、 およびFXaIの薬効過剰により誘発される可能性のある「大出血 (MJBL)」 の2種のイベント年間発生率とPT-INRの関係をロジスティック混合効果モデルで解析した。その結果、リバーロキサバンの減量が大出血リスクの低下に起因して全死亡を減少させる可能性があることをシミュレーションにより示した。 シミュレーション結果の検証が課題であるが、大出血などの致死性イベントの頻度は極めて低く、その検証には先の国際共同治験と同規模の臨床試験が必要になると予想される.そこで、これまでの解析を大出血以外の出血基準に対して拡張し、それらが用量最適性の検証に有用かどうかの検討も進めた。 一方、生体での評価系としてラット鬱血誘導モデルの作成に着手した。薬効評価のために適切な血栓誘導措置を凝固誘導剤であるトロンボプラスチンの投与量で調整した。また、血栓誘導(トロンボプラスチン)、薬物濃度血中モニタリング用採血、FXaI投与、の採血/投薬の各ルートの確保と場所決めの検討を行い、基礎となる動物モデルが完成した。 以上の結果を日本血栓止血学会学術集会にて報告し、また論文投稿を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究はMBMAのアプローチで数理モデルの改善や様々な解釈を加えることを試行する一方で、数理モデルにおいて3薬剤の臨床試験情報を統合して扱う仮定に対し、その妥当性の検証を生体動物で実行するべく、2つの仕事を同時に進めている。H29年度の計画は双方共にほぼ予定通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
MBMAのアプローチでは、大出血以外の出血基準の拡張を試行する。また、個別の臨床試験情報の活用による新たな検討にも着手する。 動物モデルの系ではH29年度に固めた基礎条件で、薬物血中濃度モニタリングを開始する。適切な動態評価時間、測定系を固めたのち、FXaIを投与して薬効評価を進める。薬効と動態を繋ぐ鍵となるのがPT比となるため、PK-PT比の相関データを同時にin vitro系で進める。
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