研究課題/領域番号 |
17K08440
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
鈴木 昭夫 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (80775148)
|
研究分担者 |
林 秀樹 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (00419665)
小林 亮 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 非常勤講師 (50555662)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | ポラプレジンク / 口内炎 / 口腔内適用製剤 / 造血幹細胞移植前大量化学療法 / 血液腫瘍 / 多施設共同無作為化比較試験 / 小児 |
研究実績の概要 |
本研究は、口内炎予防薬としてのポラプレジンク/アルギン酸ナトリウムの口腔内適用製剤(PZ-AGトローチ剤)を開発するとともに、その有効性を臨床試験にて検証することである。 平成29年度は、(1) PZ-AGトローチ剤の開発及び (2) PZ-AGトローチ剤の臨床評価を計画し、実施した。以下に研究実績の概要を記載する。 (1) PZ-AGトローチ剤の開発:日本薬局方含量均一性試験に適合したPZ-AGトローチ剤の開発に成功した。さらに、安定性試験の結果、室温下で6か月間安定であることが明らかとなった。 (2) 口内炎予防薬としてのPZ-AGトローチ剤の臨床評価 (i) 造血幹細胞移植前大量化学療法が実施される血液腫瘍患者を対象とした多施設共同無作為化比較試験:2017年1月1日より試験を開始し、2018年3月29日現在において、登録施設4施設、計47症例(予防群:25例、治療群:22例)の登録がなされた。また、試験計画書にのっとり、すべての施設で1症例目終了時にモニタリングが実施され、特に大きな問題はなかった。症例報告書も予定通り回収できており、今後解析予定である。 (ii) 造血幹細胞移植前大量化学療法が実施された小児悪性腫瘍患者を対象とした臨床評価(単施設):岐阜大学病院で造血幹細胞移植前大量化学療法が実施された16名の小児血液腫瘍患者(18歳未満)における、口内炎の発現率、重症度、等をポラプレジンク投与群とアズレン投与群で後方視的に検討した。その結果、grade 3以上の口内炎の発現率(P=0.035)、オピオイド使用率(P=0.011)、TPN施行期間(P=0.016)は、アズレン投与群と比較し、ポラプレジンク投与群で有意に低下していた。これらの結果は、Pediatric Blood & Cancer誌に投稿中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、研究計画通り、日本薬局方に適合したPZ-AGトローチ剤開発を行い、造血幹細胞移植前大量化学療法が実施される血液腫瘍患者を対象とした多施設共同無作為化比較試験を開始することができた。また、登録施設、症例数も計画通り集まっている。 さらに、小児血液腫瘍患者(18歳未満)を対象とした口内炎に対するポラプレジンクの予防効果に関する検討を実施し、その有用性を明らかにした。また、その成果を海外誌に投稿することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度より開始された、造血幹細胞移植前大量化学療法が実施される血液腫瘍患者を対象とした多施設共同無作為化比較試験を継続する。本試験デザインは、PZ-AG含有トローチ剤の予防投与群と対症療法群の2群間での多施設共同無作為化比較試験である。乱数表を用いて無作為に50名ずつ予防投与群と対症療法群の2群に分け、予防投与群では、抗がん剤与開始時からトローチ剤を使用するのに対して、治療群では、グレード2の口内炎が発現した時点から使用する。予防投与群と対症療法群で、グレード3の口内炎の発現率、その他の評価項目を比較検討する。さらに、集積された症例報告書の解析を実施する。 また、放射線化学療法が実施される頭頸部癌患者、外来がん化学療法施行患者を対象とした臨床研究を実施し、本トローチ剤の有用性を検証する。放射線化学療法が実施される頭頸部癌患者に対しては放射線治療開始時よりPZ-AG含有トローチ剤を使用する。外来化学療法患者では、抗EGFR併用フッ化ピリミジン系含有レジメン投与患者を対象にGrade 1発現時よりPZ-AG含有トローチ剤を使用する。これまでPZ-AG懸濁液、予防投与なしの患者における口内炎の発現率、重症度をヒストリカルコントロールとしてPZ-AG含有トローチ剤の有効性を評価する。
|