研究課題
本研究は、口内炎予防薬としてのポラプレジンク/アルギン酸ナトリウムの口腔内適用製剤(PZ-AG)を開発するとともに、その有効性を臨床試験にて検証することである。取り組み研究である造血幹細胞移植前大量化学療法が実施される血液腫瘍患者を対象とした多施設共同無作為化比較試験の症例の組み入れは、2018年度に終了したため、2019年度はその解析を行った。症例数は91例であり、この内3例は除外され、計88例で解析を行った。本研究はIntention-to-treat分析に基づき解析し、コントロール群(グレード2の口内炎が発現してからPZ-AGを投与)と予防群における口内炎発現率、口内炎関連有害事象の発現率、その他の有害事象の発現率、生着率およびその期間について比較検討した。その結果、主要評価項目であるGrade3以上の口内炎の発現率はコントロール群と予防群で有意な差は認められなかった。一方、グレード2以上の口内炎の発現率はコントロール群と比較し、予防群で有意に低かった。また、口内炎関連有害事象の発現率、その他の有害事象の発現率、生着率およびその期間については両群間で有意な差は認められなかった。血幹細胞移植前大量化学療法が実施された血液腫瘍患者において、PZ-AGを予防投与することにより、グレード2以上の口内炎の発現を有意に低下させることが明らかになった。また、本研究ではグレード3以上の口内炎の発現率はコントロール群と予防群で有意な差は認められなかったが、両群の発現率は既報と比較し低くかった。このことから、コントロール群ではグレード2の口内炎が発現してからPZ-AGを投与することにより、グレード3への重症化が抑えられた可能性が考えられた。
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Supportive Care in Cancer
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https://doi.org/10.1007/s00520-020-05443-8