研究課題
本研究の目的は腎特異的ヒトトランスフォーミング増殖因子-beta1過剰発現トランジェニックマウスを用いて糖尿病・高血圧による腎線維症マウスモデルを作製し、in vivo 実験によって腎線維症・腎不全に対する新規治療法の開発である。平成29年度では本プロジェクトの研究を行い、以下の成果を得てきた:1)腎特異的ヒトトランスフォーミング増殖因子-beta1過剰発現による腎線維症・腎不全の経時的な変動を検討した。4週齢のヒトトランスフォーミング増殖因子-beta1トランジェニックマウス及び同週齢の野生型マウスの線維化と腎機能のマーカーを経時的に測定し、16週間を観察した。その結果、野生型マウスでは各々のマーカーは有意な変化を示さなかったが、ヒトトランスフォーミング増殖因子-beta1トランジェニックマウスでは血中クレアチニン、血中尿素窒素、腎組織中ヒドロキシプロリンの濃度は経時的に有意に上昇した。2)腎特異的ヒトトランスフォーミング増殖因子-beta1過剰発現トランジェニックマウスを用いて糖尿病モデルを作製した。ヒトトランスフォーミング増殖因子-beta1過剰発現トランジェニックマウスにストレプトゾトシン(40mg/kg/day)を五日間腹内投与し、糖尿病マウスモデルを作製した。コントロールマウスには、生理食塩水を同様の方法で投与した。血糖値と腹腔内ブドウ糖負荷試験の検査の結果から、野生型マウスに比べ、ヒトトランスフォーミング増殖因子-beta1過剰発現トランジェニックマウスは糖尿病になりやすいことが明らかになった。腎線維症になりやすいことも明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
平成29年度では薬の投与タイミングを決定する目的で先ず疾患マウスモデルにおいて病態の進行度と病態の経時的な変化を検討したためである。
平成30年度では以下の実検を行う予定である:1)腎線維症の病態形成に糸球体のタコ足細胞と線維芽細胞からのTGF-beta1産生が重要であることが最近注目されている。そこで、in vitro実験においてタコ足細胞と線維芽細胞を用いてTGF-beta1の産生に対するTGF-beta1 siRNA、TGF-beta1アンチセンス及び細胞内情報伝達機構を抑制するトロンボモジュリンの抑制効果を検討する。2)腎特異的ヒトTGF-beta1過剰発現トランジェニックマウスを用いた糖尿病による腎線維症モデルマウスにおいて人工的に合成されたTGF-beta1 siRNA、TGF-beta1 アンチセンス、トロンボモジュリンが投与された場合の病態抑制の確認を行う。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 5件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 12件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 5件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
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