研究課題
平成31年は、腎特異的ヒトTGFβ1過剰発現トランジェニックマウスを用いた腎線維症モデルマウスにおいて組み換えトロンボモジュリンの抗線維化のメカニズムについて研究を行った。組み換えトロンボモジュリンの投与による毒性の評価も行った。ネガテイコントロール群として腎線維症のない野生型マウスを用いた。さらに、糸球体の足細胞(ポドサイト)の細胞株及びマウスの腎臓から分離した初代細胞を用いてin vitro実験も行った。その結果、in vivo実験において組み換えトロンボモジュリンの投与群では、非投与群に比べ、腎組織中のコラーゲンマーカー、炎症性サイトカイン、補体系の成分の濃度が有意に低下した。電子顕微鏡にて組み換えトロンボモジュリンの治療効果を検討したところ、組み換えトロンボモジュリンの投与群では糸球体毛細血管の基底膜の肥厚、メサンギウムの拡大・コラーゲン沈着などは、非投与群に比べ、有意に改善した。さらに、ポドサイトのアポトーシスと尿細管細胞の上皮間葉系移行も有意に抑制された。In vitro実検において組み換えトロンボモジュリンはG-タンパク質共役受容体の(GPR)15に結合し、細胞内のAktシグナル伝達経路を活性化することによって糸球体ポドサイトのアポトーシスを抑制することが明らかになった。また、組み換えトロンボモジュリンはGPR15/Aktシグナル伝達経路を介してSmad2/3のリン酸化を低下することによって上皮間葉系移行を抑制することも判った。組み換えトロンボモジュリンのin vivo投与による副作用が認められなかった。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 4件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (15件)
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