研究課題/領域番号 |
17K08444
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大村 友博 京都大学, 医学研究科, 助教 (00439035)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 脳機能障害 |
研究実績の概要 |
認知症やパーキンソン病等の神経疾患において、認知・運動機能を客観的に評価することは難しく、マーカー分子の発現量測定から脳機能障害の程度を評価できればきわめて有用なツールとなりうる。申請者は脳機能障害に関与すると考えられるユビキチンリガーゼHRD1、安定化分子SEL1Lとの関連性について研究を行ってきたが、近年microRNAがこれら分子の発現を制御することが報告されている。そこで脳機能障害モデル細胞を用いて、microRNAによる HRD1-SEL1Lの機能制御メカニズムを解析した。 平成29年度は脳機能障害モデル細胞を作出し、HRD1、SEL1LのmRNAが誘導されているのを確認した。そしてHRD1またはSEL1Lを発現抑制すると脳機能障害モデル細胞において細胞死が増強することを確認したが、HRD1よりもSEL1Lを発現抑制したほうがより脳機能障害モデル細胞における細胞死を増強することを見出し、SEL1Lの制御がより細胞の生死に影響を与える可能性が示唆された。 次に、SEL1Lを制御するmicroRNAとして既報で報告されていたmicroRNA分子について、脳機能障害モデル細胞を用いて検討したところ、有意な変化は認められなかった。そこでmicroRNAデータベースを用いてSEL1Lの発現を制御するmicroRNA分子を探索し、複数のmicroRNA分子候補を得た。そして脳機能障害モデル細胞を用いてこれらmicroRNA分子の変化について検討したところ、有意に変化するmicroRNA分子を見出した。今後はこれらのmicroRNA分子について詳細に解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SEL1Lを制御するmicroRNAとして既報で報告されていたmicroRNA分子について、脳機能障害モデル細胞を用いて検討したところ、有意な変化が認められなかったため、当初は遅れていたが、microRNAデータベースを用いてSEL1Lを制御するmicroRNA分子を探索し、有意に変化するmicroRNA分子を見出した。microRNA mimicやmicroRNA inhibitorによる実験が遅れているが、現在鋭意進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、同定したmicroRNA分子のmicroRNA mimicの遺伝子導入により脳機能障害モデル細胞において細胞死が増強するか否か、またmicroRNA inhibitorにより細胞死が抑制されるか否か検討する。合わせてSEL1LやHRD1への影響も検討する。また、現在動物モデルを作製中であり、動物モデルにおけるmicroRNAの発現量変化が検討できるかについて準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に行う実験の一部を平成30年度に行うことになり、その分が執行されなかったため、残額が生じた。 平成30年度は脳機能障害モデルにおいてmicroRNA mimicやinhibitorを遺伝子導入したときの細胞死の変化などについて検討する予定であり、それらに必要なmicroRNA mimicやinhibitorを購入する予定である。
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