研究課題/領域番号 |
17K08449
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
兒玉 幸修 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 助教 (50448510)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ドラッグデリバリー / 核酸医薬 / 肺指向性 |
研究実績の概要 |
肺指向性・長期作用持続型ナノDDS製剤のプロトタイプの改良と基礎的評価を行った。様々なカチオン性高分子、アニオン性高分子のスクリーニングを行い、プラスミドDNA(pDNA)と自己組織化させることで、肺指向性を有し、長期作用が可能なナノDDS製剤を開発することに成功した。調製したDDS製剤の粒子径と表面電荷をゼータサイザーで測定した結果、粒子径約100 nmのアニオン性微粒子を形成していることが明らかになった。さらに透過型電子顕微鏡により球状であることが確認できた。ルシフェラーゼをコードしたpDNA(pCMV-Luc)を用いてDDS製剤を作製し、in vitroにおける肺繊維芽細胞への取り込みおよび遺伝子発現効率を評価した。その結果、DDS製剤は肺繊維芽細胞に高効率に取り込まれ、高い遺伝子発現を示した。また、取り込まれた製剤は細胞内で分解されたため、生体分解型であることが示された。細胞毒性を評価した結果、調製したDDS製剤は一般的なカチオン性ベクターで認められる細胞毒性は示さなかった。さらに、pCMV-Luc、蛍光標識したカチオン性高分子、アニオン性高分子を用いてナノDDS製剤を作製し、マウスへ尾静脈内投与した結果、DDS製剤は肺へ選択的に分布することが明らかとなった。また、肝臓、腎臓、脾臓、心臓、肺における遺伝子発現を測定した結果、肺において選択的に遺伝子発現を示した。また、血液毒性を評価した結果、血球凝集は起こさなかった。 以上のように、我々は本年度の研究によって、肺指向性・長期作用持続型ナノDDS製剤のプロトタイプの改良に成功した。来年度は、small interfering RNA (siRNA)への応用を試みる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた研究計画をほぼ達成できているため、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度も当初予定していた研究計画に従い、研究を推進する。 具体的には、今年度の研究で改良に成功したナノDDS製剤をsiRNAへ応用させる。siRNAを内包したナノDDS製剤を調製し、製剤学的検討を行い、最適な製剤を見い出す。その製剤を用いて、細胞レベルおよび動物レベルでの遺伝子抑制効果について評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
キャンペーン期間中に試薬の購入を行うなどして研究費を功利的に使用したため。 平成30年度に配分される研究費については、消耗品および旅費として使用する予定である。また、平成29年度の繰越は消耗品費に補填する。
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