研究課題
平成30年度は肺指向性・長期作用持続型ナノDDS製剤をsmall interfering RNA (siRNA)への応用を検討した。siRNAと様々なカチオン性高分子、アニオン性高分子を自己組織化させ、多種類の製剤を調製することができた。調製した製剤は粒子径約100nmのアニオン性微粒子であった。ルシフェラーゼをサイレンシングするsiRNAを用いて製剤を調製し、ルシフェラーゼを恒常発現した細胞株への取り込みおよび遺伝子発現抑制効果を評価し、製剤のスクリーニングを行った。その結果、高効率に取り込まれ、高いルシフェラーゼ抑制効果を示す製剤を見出すことに成功した。また、細胞毒性も示さなかった。ナノDDS製剤をマウスに尾静脈内投与した結果、肺に高効率に分布することが分かった。以上のように、我々は平成30年度の研究によって、肺指向性・長期作用持続型ナノDDS製剤をsiRNAに応用することに成功した。令和元年度は、ルシフェラーゼを恒常発現させた肺繊維芽細胞株を作成して、取り込みおよび遺伝子抑制効果を評価するとともに、疾患モデルマウスを作成し、薬理効果についても検討を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
当初予定していたとおり、肺指向性・長期作用持続型ナノDDS製剤をsiRNAへ応用することができ、研究計画をほぼ達成できているため、おおむね順調に進展していると評価した。
令和元年度も予定通りに研究を推進する。具体的にはsiRNAを内包したナノDDS製剤を調製し、肺線維芽細胞での評価を行う。さらに、疾患モデルも作成し、薬理効果について評価する。
キャンペーン期間中に試薬の購入を行うなどして、研究費を効率的に使用したため。平成30年度の繰り越しは消耗品費に補てんする。
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Biological & Pharmaceutical Bulletin.
巻: 41 ページ: 342-349
doi: 10.1248/bpb.b18-00144
巻: 41 ページ: 1537-1542