研究課題/領域番号 |
17K08453
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
尾上 誠良 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (00457912)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 光線過敏症 / 光化学 |
研究実績の概要 |
薬剤性光線過敏症を誘発するモデル化合物群を対象とし,その光化学的・光生物学的・薬物動態学的特性を網羅的に解析し,その情報を系統的に整理することで 3 種類の薬剤性光線過敏症(光刺激性,光アレルギー,光遺伝毒性)の誘発機序を詳細に検証している.これまでの研究の結果,光安全性リスクを予測する上で重要な要因は,化合物の (i)光化学的反応性,(ii)体内動態(特に皮膚移行性)であり,いずれかが欠ければ光毒性発現リスクは低いと考えられる.本研究では,この仮説をさらに検証すべく,複数の光毒性誘発モデル化合物群を対象として,仮説の信頼性と適用限界について精査した.さらに,“光刺激性” “光アレルギー” そして “光遺伝毒性” の各種リスクを特異的に予測するため,励起された光毒性化合物と各種光毒性反応に関連する生体内分子との相互作用情報をえるべく検討を進めた.各光毒性反応に関与する生体内分子として (i) 膜タンパクならびに脂質(光刺激性),(ii) 血漿タンパク(光アレルギー),そして(iii) DNA(光遺伝毒)を選択し,基底状態ならびに光励起状態の被験物質とこれらの生体内分子との相互作用を網羅的に精査した.本年度は被験物質の生体膜透過性について着目し,この透過性データと光反応性を統合的に評価することによって光安全性の指標となることを明らかにすることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人工膜を使った各種光毒性物質の生体膜透過性を主軸に,その光化学的・光生物学的・薬物動態学的特性を網羅的に解析し,その情報を系統的に整理することで 3 種類の薬剤性光線過敏症(光刺激性,光アレルギー,光遺伝毒性)の誘発機序を詳細に検証している.各光毒性反応に関与する因子を種々特定し,各光毒性リスクを特異的に予測可能な in vitro 評価系あるいは in vitro/in vivo 融合評価系を構築する.開発した評価系の頑健性・信頼性を検証し,研究協力者と協力して国際協調活動を推進している.2018 年度は ROS assay の OECD テストガイドライン案を作成して既に提出し,2018 年 11 月に OECD 本部にて開催された専門家会議にて正式にガイドラインとして認められ,2019 年 7 月に施行予定となっている.
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今後の研究の推進方策 |
平成 30 年度の検討を継続すると共に,被験物質の各種物性(log P, polar surface area, 分子量,血漿タンパク結合率,net charge, 膜透過係数他)を皮膚内動態の予測パラメーターとして用い,被験物質群の皮膚移行性ならびに滞留性を予測する. さらに臨床医の協力を得て,光アレルギーならびに光遺伝毒性に関する機序解明を行う.光アレルギーについては光励起化合物のタンパク結合特性に焦点をあて,血漿タンパクとの共有結合形成能についてクロマトグラフィーや分光学的手法などを用いて精査する.光遺伝毒性については,光励起化合物の DNA 結合活性,pyrimidine dimer 形成,DNA 酸化能について,応募者が先に開発した DNA-binding assay や DNA-photocleavage assay を主軸に網羅的解析を行う.これらの検討によって,各種光毒性反応においてトリガーとなる光生化学的イベントが明らかとなり,主要な反応を指標とした特異的光安全性評価系開発が可能となる. 明らかにした特に重要な光生化学的イベントを指標とするアッセイ系を構築するとともに新しい国際協調活動を模索する.
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次年度使用額が生じた理由 |
物性評価をすすめるうえでスクリーニング開発を行ったが,その精度検証結果が思わしくなく,それ故再構築を余儀なくされたので予定が変更となった.
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