研究課題
薬剤性光線過敏症は特定の薬物を摂取後に,太陽光に露光することによって惹起する皮膚や眼の異常反応であり,主に 3 つのタイプ(光刺激,光アレルギー,光遺伝毒性)に大別される.創薬段階での本副作用回避が強く望まれているが,その発症機序解明は不完全であり,さらに光アレルギーや光遺伝毒性に関する有用な in vitro 評価系は未だに乏しい.研究代表者は独創的な着想によって光反応性評価ツールとして reactive oxygen species (ROS) assay を創出し,本評価系は ICH S10 ガイドラインに本邦初の ICH 推奨安全性試験法として採用された (2014 年).本研究は ROS assay データを基盤とする医薬品の物性と生物薬剤学的情報に着目して光毒性機序を網羅的に解明するとともに,得られる知見を基盤とした新規評価系構築を戦略的に進めるものである.薬剤性光線過敏症を誘発するモデル化合物群を対象とし,その光化学的・光生物学的・薬物動態学的特性を網羅的に解析し,その情報を系統的に整理することで 3 種類の薬剤性光線過敏症(光刺激性,光アレルギー,光遺伝毒性)の誘発機序を詳細に検証した.各光毒性反応に関与する因子を種々特定し,各光毒性リスクを特異的に予測可能な in vitro 評価系あるいは in vitro/in vivo 融合評価系を構築した.開発した評価系の頑健性・信頼性を検証し,研究協力者と協力して国際協調活動を推進し,2019 年には ROS assay が OECD test guideline 495 として成立した.
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Regulatory Toxicology and Pharmacology
巻: 113 ページ: 104619~104619
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European Journal of Pharmaceutical Sciences
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