最終年度は、前年度に引き続き、多孔性PLGAマイクロ粒子の作製の検討を継続して行った。主な改善点としては、PLGAマイクロ粒子に水酸化ナトリウムで処理をし、処理時間を調製することで粒子表面において加水分解が進み、多孔化しただけでなく、表面改質された粒子を調製することができた。この技術を将来的に2液混合型スプレーノズルを用いたスプレードライ技術に応用することにより、機能性粒子が生産できるのではないかと考えている。 また、本研究計画をさらに推進し、癌を死滅させることのできる金ナノ粒子(金ナノスター)を含有した吸入剤用マイクロ粒子を2液混合型ノズルを用いて調製することについて着目している。実際に作製した金ナノスターは近赤外光を吸収する特性を有していた。また、近赤外線レーザーを照射して発熱することを確認した。次に金ナノスターに光増感剤を結合させた機能性ナノ粒子の作製を行った。肺がん細胞株に光増感剤搭載金ナノスターを暴露し、近赤外線レーザーを照射したところ、光温熱療法と光線力学療法の組み合わせにより、がん細胞を死滅させることができることをin vitro実験により確認した。 以上より、機能性ナノ粒子・マイクロ粒子を用いて、2液混合型スプレーノズルにより吸入剤に適した粒子に作製することにより、機能性粒子の製造および保存技術として応用が期待できると考えている。またこれに関連し、当初の研究計画に示していた、薬物含有PLGAナノコンポジット粒子を2液混合スプレーノズルを用いたスプレードライにより作製する方法についても現在検討を進めており、実験条件の最適化について検討を行っている。
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