研究課題/領域番号 |
17K08460
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研究機関 | 日本薬科大学 |
研究代表者 |
前田 智司 日本薬科大学, 薬学部, 准教授 (60303294)
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研究分担者 |
千葉 健史 岩手医科大学, 薬学部, 助教 (80552926)
浦丸 直人 日本薬科大学, 薬学部, 講師 (90424069)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 母乳 / ノルアドレナリン / 乳腺上皮細胞 / メラトニン |
研究実績の概要 |
母乳は人工乳に比べて栄養学的に優れ、乳幼児の発達に大きな利益をもたらすことが分かっている。一方、母乳中には、セロトニン(5-HT)、ドパミン(DA)、ノルアドレナリン(NA)、アセチルコリン(Ach)等の生理活性物質が含まれていることが分かっている。これまでに、5-HTに関しては、母乳産生制御に関与していることが分かっているが、他の生理活性物質の役割に関しては全く分かっていない。さらに、様々な母乳成分が乳児に対して多くの利益を与えている事実を鑑みると、5-HTを含めたこれら生理活性物質も何らかの利益を乳児にもたらしている可能性は高いと考えられる。本研究では、母乳に含まれる生理活性物質として、5-HT、DA、NA、Achに着目し、これら物質の生理的役割について解明を行う。本年度は以下の点について検討を行った。(1) 麻酔化状態のマウスおよびラットを用いて母乳の搾乳方法の確立。市販されているマウス・ラット用の搾乳器を用いて、授乳マウスからの搾乳の検討を行い、ラットから母乳を搾乳し、これら生理活性物質の同定および定量を行っている。 (2) ヒト母乳中のノルアドレナリンを測定および母乳産生に対する役割。母乳中からのノルアドレナリンの精製方法および測定法を確立し、母乳中のノルアドレナリン量の測定を行った。(3) 乳腺上皮細胞に発現するノルアドレナリントランスポーターの機能解析。乳腺上皮細胞の細胞膜にノルアドレナリントランスポーターの発現を確認し、現在機能解析を行っている。(4) 母乳中に含まれるメラトニンの精製法および測定法の確立。(2)、(3)に関しては、その結果を論文にまとめ投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
母乳中のノルアドレナリンの濃度および母乳産生に対する役割についてはおおむね順調に進展している。一方、母乳中にふくまれるこれら生理活性物質の乳児に対する役割の解明が計画より遅れているが、ラットを用いて母乳の搾乳方法の確立ができたので、ラット母乳中のこれら生理活性物質の濃度測定を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
母乳中にふくまれるこれら生理活性物質の乳児に対する役割の解明を行う。ラット母乳の搾乳方法と生理活性物質の濃度測定が確立したので、ラット・マウスのセロトニン、メラトニン、ノルアドレナリンを測定し、乳児マウスに対する影響を行動試験法で検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加予定の学会に参加しなかったため。
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