研究課題/領域番号 |
17K08467
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
野口 修治 東邦大学, 薬学部, 教授 (60237823)
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研究分担者 |
伊藤 雅隆 東邦大学, 薬学部, 助教 (30792410)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 難溶性薬物の可溶化 |
研究実績の概要 |
高難溶性薬物の溶解性向上を簡便に図ることができる新規薬物担体として,キュービック相(立法液晶相)をもつキューボソーム製剤の評価を進めた。高難溶性モデル薬物として,複数の芳香環を有するノビレチンを用い,キューボソーム基剤として生体親和性の高いモノオレイン酸グリセリンを利用した。定法によりキューボソーム製剤化を進めたところ,平均粒子径が約100 nm,ゼータ電位は約10 mVのキューボソーム粒子が得られた。小角散乱法により,立方液晶相の空間群はIm3mであった。ノビレチンの溶解度は,キューボソーム製剤化により,溶解性は原末の約3倍に向上した。キューボソーム製剤化薬物担体としてのキューボソームの可溶化能および吸収促進能の比較を行うため,ノビレチンの共結晶の調整を行い,いくつかの共結晶形成剤で新規ノビレチン共結晶を得た。各ノビレチン共結晶の結晶構造を決定するとともに溶解度を調査したところ,キューボソーム製剤化ノビレチンに匹敵する溶解度のものも存在していた。また,キューボソーム製剤のモデル医薬品として,苦味を持つマクロライド系抗生物質のクラリスロマイシンを用いるため,放出制御錠剤の調製が可能である準安定Ⅰ型結晶の物性評価も行った。動的水蒸気収着測定を行ったところ,二段階の吸湿過程を経て,相対湿度95%以上で3水和物のIV型結晶に変化すること,そしてIV型結晶は低湿度条件下では新規無水物結晶であるVII型結晶へと転移することを初めて明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
キューボソーム製剤および比較用製剤の調製を行えており,おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
薬物担体としてのキューボソームの固形製剤化を考慮する際には,キューボソームに封入した薬物と薬物担体の基剤との相互作用を評価することも重要である。キューボソームに封入された製剤では薬物は基剤の中に埋もれた非晶質状態であるため,透過力の高いX線を利用したX線吸収微細構造(XAFS)測定法が有効と考えられる。当初の計画通りに研究を進めるとともに,キューボソーム製剤の評価にXAFS測定法を適用する方法についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
試料調整用の一部薬品の購入を次年度に行うことになったため。
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