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2017 年度 実施状況報告書

プラチナ系抗癌剤の副作用発現とバイオメタル変動との連関解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K08474
研究機関大阪薬科大学

研究代表者

中村 任  大阪薬科大学, 薬学部, 教授(移行) (80379411)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードプラチナ / 抗癌剤
研究実績の概要

プラチナ系抗癌剤の副作用予測ならびに予防法の確立が急がれる。プラチナ系抗癌剤は生体内金属(バイオメタル)と相互作用することが推察され、副作用発現との関連性を明らかにする目的で、シスプラチン投与患者の血液サンプルについてプラチナならびにバイオメタルの血漿中濃度解析を行った。シスプラチン投与開始後には血液中の鉄が一過性に変動することを報告してきたが、鉄には同位体が存在し、鉄同位体比率は疾患等によって変動する可能性がある。既存のサンプルについて鉄同位体比を評価したところ、シスプラチン投与後の経過日数に伴って同位体比が変動することを認めた。測定精度の問題があり、現象の再現性について検討を予定している。
プラチナ系抗癌剤投与患者においてはハイドレーションや制吐療法が実施されることから抗癌剤のみの影響を評価することが困難である。そこで、がん由来培養細胞を用いてプラチナ系抗癌剤あるいは制吐剤処置下でのバイオメタル変動を評価したところ、細胞自身や培養試薬に含有されるバイオメタルの定量評価が必要であり、条件設定に時間を要している。また、動物レベルでの検証も必要と考えられることから研究協力者を得て実験条件の詳細を検討しているところであり、バイオメタル変動の詳細なメカニズムについて多面的に解析を進める予定である。
ICP-MSを用いてプラチナ系抗癌剤濃度をプラチナ濃度として評価してきたが、最近、LC-MSを用いた評価手法が報告されており、従来よりも詳細な解析が可能となることが期待できる。本年度はモデル薬物を用い、LC-MSによる薬物定量分析する環境を整備した。今後、順次、プラチナ系抗癌剤の測定法確立を進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

細胞自身や培養試薬に含有されるバイオメタルの定量評価に時間を要している。また、測定機器の不具合があり、一時的にバイオメタル測定ができなかったことが影響している。

今後の研究の推進方策

鉄同位体比については再現性も含め、引き続き検討していく予定である。培養細胞を用いた検討の遅れについては、研究分担者を追加することで速やかにin vitro系での評価を進める予定である。また、LC-MSを用いることで、より詳細なプラチナ系抗癌剤の変動解析が可能になると考えられる。既存の医薬品について解析手順の確認等が行えたことから、プラチナ系抗癌剤ならびに併用薬剤の測定系確立を引き続き進めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

測定機器の不具合があり、一時的にバイオメタル測定ができなかったため。また、臨床検体が当所の予定通りに追加できていないことも影響している。次年度は、培養細胞を用いた検討を中心とし、研究分担者を追加することで速やかにin vitro系での評価を進める予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Antiemetic efficacy and safety of granisetron or palonosetron alone and in combination with a corticosteroid for ABVD therapy-induced nausea and vomiting2018

    • 著者名/発表者名
      Uchida Mayako、Nakamura Tsutomu、Hata Kojiro、Watanabe Hiroyuki、Mori Yasuo、Kato Koji、Kamezaki Kenjiro、Takenaka Katsuto、Shiratsuchi Motoaki、Hosohata Keiko、Miyamoto Toshihiro、Akashi Koichi
    • 雑誌名

      J Pharm Health Care Sci.

      巻: 4 ページ: -

    • DOI

      10.1186/s40780-017-0097-4

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Comparison between Antiemetic Effects of Palonosetron and Granisetron on Chemotherapy-Induced Nausea and Vomiting in Japanese Patients Treated with R-CHOP2017

    • 著者名/発表者名
      Uchida Mayako、Mori Yasuo、Nakamura Tsutomu、Kato Koji、Kamezaki Kenjiro、Takenaka Katsuto、Shiratsuchi Motoaki、Kadoyama Kaori、Miyamoto Toshihiro、Akashi Koichi
    • 雑誌名

      Biol Pharm Bull.

      巻: 40 ページ: 1499~1505

    • DOI

      10.1248/bpb.b17-00318

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 敗血症患者におけるアジスロマイシン持続投与後の体内動態および基礎的検討2017

    • 著者名/発表者名
      10.河渕真治、藤田章洋、伊藤由佳子、桒原晶子、中村任、安井裕之、相引眞幸、栄田敏之
    • 雑誌名

      TDM研究

      巻: 34 ページ: 119~125

    • 査読あり
  • [学会発表] 添付文書の読み解き方に関する卒後研修会の有用性評価~参加者へのアンケート調査による分析~2017

    • 著者名/発表者名
      角山香織、中村敏明、中村任、宮崎誠、永井純也
    • 学会等名
      医療薬学フォーラム2017/第25回クリニカルファーマシーシンポジウム
  • [学会発表] R-CHOP療法におけるパロノセトロンの有用性検討2017

    • 著者名/発表者名
      内田まやこ、森康雄、宮本敏浩、加藤光次、中村任、角山香織、赤司浩一
    • 学会等名
      医療薬学フォーラム2017/第25回クリニカルファーマシーシンポジウム
  • [学会発表] 茶葉飲料による服用を想定したピペラジン骨格含有薬物の溶解性に関する検討2017

    • 著者名/発表者名
      阪上彩子、福井希、中村任、岩永一範
    • 学会等名
      第27回日本医療薬学会年会
  • [学会発表] プラチナ系抗癌剤投与時のバイオメタル解析2017

    • 著者名/発表者名
      中村任
    • 学会等名
      探索医療薬物研究会 第5回合同シンポジウム

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公開日: 2018-12-17  

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