本研究は、神経幹細胞の維持や神経分化におけるヒストンアセチル化の役割を解明することを目的とし、脳で高発現するTip60ヒストンアセチル化酵素を神経幹細胞/前駆細胞で欠損するマウスを作製した。Tip60欠損マウスは、生後すぐに致死となった。Tip60欠損マウスは小頭症を示し、神経幹細胞の自己複製能や神経分化能の低下に起因すると考えられた。遺伝子発現解析では、Tip60欠損脳は、神経発生に関与する遺伝子群の発現が著しく低下していた。Tip60ヒストンアセチル化酵素によるヒストンアセチル化は、一連の遺伝子群の発現を制御することによって、神経幹細胞の維持や機能に重要な役割を担っていると考えられた。
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