研究課題/領域番号 |
17K08502
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小林 純子 (仁尾純子) 北海道大学, 医学研究院, 講師 (70447043)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ガレクチン / 着床 / ケラタン硫酸 / MUC1 |
研究実績の概要 |
受精卵の子宮内膜への着床不全は、不妊症を引き起こす。我々は、これまでに、子宮外妊娠をおこしたヒトの卵管では、ガラクトースを認識するレクチンであるガレクチンとその糖鎖との相互作用に関与するシアル酸修飾が変化することを報告してきた。受精卵の着床には、子宮内膜上皮に発現する糖タンパク質であるムチン1(MUC1)が、子宮内膜上皮細胞の管腔側表面からの消失が重要であることがしられる。ヒトの子宮内膜のMUC1はケラタン硫酸鎖をもつことがしられており、硫酸化程度の低いケラタン硫酸はgalectin-3のリガンドとなることが報告されている。しかし、ガレクチンとリガンドとなる複合糖質が、受精卵の着床メカニズムにどのような役割を果たすかは明らかでない。 本研究では、マウスおよび培養細胞を用いて、受精卵の着床メカニズムにおけるガレクチンとリガンド複合糖質の役割を明らかにすることを目的とする。 初年度は、マウスを用いて、ガレクチン、シアル酸転移酵素、Muc1、Muc1上に存在するといわれるケラタン硫酸合成酵素の子宮内膜における発現と着床時における局在の変化を形態学的解析を用いて明らかにした。子宮内膜表層にはgalectin-3およびMuc1が局在しており、受精卵の着床に関与する可能性が示唆された。 二年目は、培養細胞を用いて、ガレクチンとリガンド複合糖質の発現に変化を与える因子について解析し、in vitro着床アッセイ系を立ち上げた。 本研究により、着床メカニズムにおけるガレクチンと糖鎖の役割が明らかになれば、不妊症の新たな診断法や治療法の確立に貢献できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では二年目にSt6gal1遺伝子欠損マウスを用いた解析を行う予定であったが、研究に必要なマウス個体数を確保することができなかったため、三年目に実施予定であった培養細胞を用いた解析を先に実施した。よって、研究は、順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、ひきつづき培養細胞を用いたin vitro着床アッセイ系を用いた実験と、St6gal1遺伝子欠損マウスおよびgalectin-3遺伝子欠損マウスを用いて、解析を行う。
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