研究課題/領域番号 |
17K08520
|
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
林 徹 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (10454266)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 顎下腺 / マイクロRNA / 上皮間葉相互作用 / 脱メチル化 |
研究実績の概要 |
胎仔マウス顎下腺は、発生期を通じ上皮と間葉が相互作用することで、その形態と機能が確立されていきます。これまでの研究で、胎仔マウス顎下腺の間葉から上皮へと、マイクロRNAを内包する細胞外小胞(エクソソーム)が輸送されていることを明らかにしました(Hayashi et al., Developmental Cell, 2017)。マウス顎下腺上皮では、胎生期15日齢(E15)前後に唾液の産生・分泌に関わる遺伝子の発現開始が認められます。このとき、上皮細胞の核にてエピジェネティクスな変化(本研究計画ではシトシン塩基の脱メチル化に着目)が生じていることを2017年度末までに明らかにしてきました。E15の顎下腺上皮で観察されたこの変化は「分化のスイッチがOFFからON」へと切り替わったことを示しています。そこで本研究では、間葉から上皮へ輸送されるマイクロRNAが脱メチル化のタイミングを調節していると仮説をたて、検証を試みています。2018年度は、前年度に引き続いて脱メチル化酵素TET1-3に関する免疫染色を実施しました。その結果、E13-E16マウス顎下腺上皮における各TETの発現パターンまたは発現部位は、TETの種類によって異なることが示唆されました。また、上皮の脱メチル化酵素遺伝子Tet1-3の発現を制御しうる、間葉からのマイクロRNAについて阻害実験を実施しました。その結果、マイクロRNA阻害により、TET遺伝子の発現レベルが上昇するデータが得られています。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は、前年度に引き続き脱メチル化酵素TETの免疫染色に注力しました。染色の方法に変更を強いられましたが、そのおかげで良い結果が得られました。マイクロRNAの阻害実験も軌道に乗りつつあります。
|
今後の研究の推進方策 |
マイクロRNAの in situ hybridization を実施しているほか、TETの活性に影響を与える因子についても着目し、多面的に研究を遂行していきたいと考えています。
|
次年度使用額が生じた理由 |
慎重かつ有効に助成金を使用した結果、生じた次年度使用額です。最終年度にて有意義かつ効果的に使用させて頂きます。具体的にはマイクロRNA阻害試薬や、マイクロRNA検出プローブの購入に充てる予定です。
|