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2018 年度 実施状況報告書

足細胞におけるスリット膜の形成・消失・再生過程~電顕3D再構築法を活用した解析~

研究課題

研究課題/領域番号 17K08521
研究機関順天堂大学

研究代表者

市村 浩一郎  順天堂大学, 医学部, 准教授 (10343485)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード足細胞 / スリット膜 / 足突起消失 / ネフローゼ症候群 / FIB/SEM / 三次元超微形態解析
研究実績の概要

足細胞のスリット膜は血漿タンパク質の尿中への漏出を防ぐバリア機能を持つ。スリット膜は足細胞の発生期に形成され、病態時に消失・再生するのだが、これら3つの過程の形態的プロセスは断片的にしか理解されていない。そこで、本研究では、電顕3D再構築法(FIB/SEM法)を活用し、「スリット膜の形成・消失・再生」の形態プロセスを立体的に完全解明する。本年度は足細胞の病態時におけるスリット膜の消失過程について、FIB/SEM法により解析を行った。病態モデルとしては、ラットのネフローゼ症候群モデル(PAN腎症)を用いた。病態の進行によりスリット膜はほぼ失われ、足細胞同士はタイト結合のみで連結するようになる。このような細胞間結合装置の変化に伴い、足細胞の突起構造も大規模に「改築」されるが、この改築過程をこれまでになく詳細に解析できた。
1)3D再構築像で見た足突起消失
基底面の観察から、足突起の消失過程には少なくとも2つの様式(1型・2型)があることが分かった。1型過程は足突起の太さが不均一になりつつ短くなっていく様式で、足細胞の全体に広く認められる。一方、2型過程は足突起が全長にわたって均一に細くなりつつ短縮してゆく。
2)足突起消失に付随する変化
・自己細胞間結合の形成:PAN腎症では、足細胞の一部で広範囲に足突起が失われることがある。これにともない、隣接する足細胞は消失部の両側から、基底膜の露出を防ぐために伸びだし、最終的に自己細胞間タイト結合を形成することがある。なお、PAN腎症はある程度自然治癒するが、自己細胞間タイト結合が、正常な構造への完全な回復を妨げている可能性がある。
・断片化と断片脱落:足突起消失にともない、足細胞は様々な大きさの断片を形成する(少なくとも3つのタイプが見られる)。これらの断片は、形成初期には糸球体基底膜に接着しているが、やがて変性し、尿中へ脱落すると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

病態時における足細胞の突起消失・スリット膜改変過程のデータが予想以上に早く出揃ったため、この点に関する論文が腎臓病学の有名誌にすでにアクセプトされているまた別の関連するデータについても1報が英文誌にアクセプトされ、もう1報もまもなく投稿予定である。(令和元年5月2日現在)。

今後の研究の推進方策

連続断面像からの再構築解析(特に構造物抽出、いわゆるセグメンテーション作業)に多大な時間を要しており、これが研究遂行の律速段階となっている。次年度は、より高性能な画像解析ワークステーションを増設し、解析の効率を高めることにしている。また、本研究への参画を希望する大学院生を募り、解析の人手を増やしていくことも進めている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Morphological processes of foot process effacement in puromycin aminonucleoside nephrosis revealed by FIB/SEM tomography.2019

    • 著者名/発表者名
      Ichimura K, Miyaki T, Kawasaki Y, Kinoshita M, Kakuta S, Sakai T.
    • 雑誌名

      J Am Soc Nephrol

      巻: 30(1) ページ: 96-108

    • DOI

      doi:10.1681/ASN.2018020139

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2019-12-27  

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